同じく、東京国立近代美術館本館で
大観の40mの水墨画が公開されているのでみてきました。
これまたメイン展示ではないので、それほど期待してなかったのだけど、
かなり面白かった。ひとつの物語を読むような感覚。これを55歳で描いたのかあ。
岩から染み出した水滴が集まり山の小川になり、
激しさや穏やかさ、様々な表情を見せながら、
霧深く埋もれる山々、里山、そして大きな海へと流れていく。
以前、ここにもメモした加古里子さんの”かわ”を思い出します。
霧の中に見え隠れする深い山々、里の人々、
木々の立ち振る舞いや葉の重なり、流れの緩急、荒れ狂う海の渦。
水墨でこれだけ多様な表現が可能なんだと、
水をつかった絵画で証明してくれているようだ。
僕も人生で一度はこれくらい長編の作品を描いてみたい。
横山大観 生々流転 Taikan Yokoyama, Metempsychosis – momat.go.jp
日程:2007年1月2日(火)~3月4日(日)
時間:10:00~17:00 金曜日は20:00まで
休館:月曜日、ただし1月8日、2月12日は開館、翌日(火)休館
場所:東京国立近代美術館本館 1F特設ギャラリー
所蔵作品展「近代日本の美術」では、今回1F特設ギャラリーにて、横山大観(1868-1958)の長大な画巻《生々流転》(重要文化財)を特別公開いたします。
2002年のリニューアル開館後初めての全長40メートル一挙公開です。壮大なスケールを持つ《生々流転》の魅力をぜひご堪能ください。また同じ1F特設ギャラリーでは、併せて当館所蔵作品を中心とした大観の他の作品を展示いたします(一部展示替があります)。4F~2Fの所蔵作品展とともに、どうぞご覧ください。
参考:
かわ 作・絵:加古里子 (sakana no makimono) [Link]
井上雄彦 資生堂UNO 巨大水墨画 (sakana no makimono) [Link]
横山大観記念館 [Link]
横山大観 (Wikipedia) [Link]
足立美術館:ADACHI MUSEUM OF ART [Link]
生々流転のランドスケープ
大学の3年4年と下北沢の研究をしていました。
そして卒業制作は、小田急線地下化によってできる地上スペースを
どのようにしていくかという設計提案しました。
まずは下北沢にいかに多様な空間や
建築タイプが存在するかを類型化して地図にプロット。
駅前の戦後闇市の名残りなど、
空襲を逃れ震災の影響もすくなかった下北沢には他の都市に比べて
様々なビルディングタイプ、様々な空間と人との関わり方が存在する。
論文がメインではないのでこの辺はやわらかく楽しく適当に。
本当はここまでで楽しく都市の絵本をつくるところで止めたかったけど、
設計するか堅苦しい論文かかなくてはいけないので、
小田急線地下化後のスペースにどうやって「下北沢らしさ」を
もりこんで設計ができるかにチャレンジ。
「どれだけ多様な空間を担保できるか」
それが僕が学生時代に下北沢の小田急跡地で提案しようと考えたことです。
これを1人のランドスケープデザイナーが
あんな空間もあります、こんな空間もありますというつくりかたもあるけど、
そうじゃなくて、僕が用意するのはあくまでまっさらな箱であって、
そこに出店がでたり、路上空間で勝手にライブをする人がいたり、
コンクリートの塀にお店の商品を並べたり、
様々な使い方ができる都市空間を提案したかったわけです。
20世紀に発明された建築空間のなかにユニバーサルスペースという考え方あるけれど、
完全にまっさらでフラットな空間、
なんでもできるだだっ広い空間は逆にどう使っていいか分からない。
そういう問題を生んでしまう。
なので、半ユニバーサルに、
ある程度の使い方の自由をつくりながらも、
そこで起こりうる行動をある程度予測しながら、
細かなしかけを用意してやる。
そんなランドスケープの設計・提案がしたかった、
できていたかは別として。
ロンドンでの生活が3年目にはいって
そろそろランドスケープレベルで何か提案を考えなくてはと思い、
昔の研究をちょっと思い出して思考の整理をしています。
で、いまやろうとしているのが
生々流転のランドスケープ。多様な水辺空間。
ちなみに、生々流転っていうのは水が様々に姿をかえて流れていく様子を描いた
横山大観の水墨画のタイトルです。東京国立近代美術館所蔵。
魯祐の巻物 | yousakana no makimono
小林忠
墨絵の譜
水つながりでこの本をメモ。 参考: 没後50年 横山大観―新たなる伝説へ (y…