創業安政2年以来の正真正銘の手造り「石孫本店」 Truly Natural brewed Miso and Soy sauce “Ishimago”


創業安政2年(1855年)。秋田県湯沢市で昔ながらの作り方で代々、お味噌や醤油を醸造している石孫本店さんにやってきました。「昔ながらの」というコピーは多くあれど、ここまで機械に頼らず、火もストーブではなく石炭を使い手間暇かけている作り手は日本各地のあらゆるモノづくりの現場と並べてもとても貴重な存在です。

どうしてここまでして手作りにこだわるのですかと聞くと、「何度も手で触って、愛着が湧くことが大切。仕事は楽しくて喜びがないと」と6代目社長 石川裕子さん。その人柄がそのまま表れたような優しく品のある風味のお味噌やお醤油は、愛情のこもった母親の味のようです。

I went to traditional brewing company “Ishimago Honten” in Yuzawa city, Akita pref., Japan.
They use traditional tools and savoring natural brewing by the hands. The rice and beans for fermentation are all from the local Akita pref.. They are fermented in wooden barrels at storehouses designated as a National Registered Cultural Property.



氷柱がキラキラとして綺麗です。
雑誌せとうち暮らしの仲間でもある醤油ソムリエールの黒島慶子さんの紹介で、
冬の仕込みのお忙しい時期にお邪魔しました。


空気が澄んでいて雑菌の少ない冬に酒や味噌を仕込むことを
寒造り(かんづくり)や寒仕込み(かんじこみ)と言います。


雪の乗った松葉


石孫本店の隣りにあるインテリアショップとカフェ「momotose」
石孫本店のお味噌や塩麹がつかわれた料理を頂くことができます。
こちらで食事をしたあとに蔵の見学をされるかたもいらっしゃるそうです。


醸造蔵の全景を描いた絵。
現在もほとんどこのままの建物の姿を保っております。


石造りの蔵。6つの蔵は1998年に文化庁指定登録有形文化財として登録されています。


大豆を蒸しています。


蒸した大豆はこうして並べられます。


そらまめで味噌をつくってみたりと、それぞれに試行錯誤。
社員ひとりひとりが、自分で考えながら主体的に動く。
機械に頼らず自分の手でつくっているという実感がそれぞれにあるからかもしれない。


各部屋の入り口に担当者の名前が書かれています。


醤油麹室


黄色い麹菌。麹室で交代で火の番をしながら発酵を見守ると
自然と麹菌が可愛くなるという。


冬場には氷点下7度くらいまで冷え込むため
床にある囲炉裏に藁や炭を燃やして室を温めます。
こまめに温度や湿度を確認して、
温度が低ければ火をおこし、高すぎれば天窓をあけて冷やします。
部屋が均等に暖められるわけではないので、
温度ムラがないように麹蓋の入れ替えをこまめにするというとても手間のかかる工程。
しれゆえに、麹菌への愛情が自然とわくのでしょう。


醤油ができる過程。もろみ


醤油蔵。社員のアイディアで、清潔に保ちやすいように
床が木桶の上より低くなっている。


醤油の搾りかす


お米を適度に冷やすようにと使われている
敷物もまた昔ながらの植物を使っています。


ishimago honten


製麹室。蒸されて種麹がつけられたお米が布団をかけられてここで眠ります。


味噌蔵。立方体の石が重しとして使われています。


カラフルな瓶


蔵には香ばしくいい香りが漂っています。
蔵付き酵母に力を借りる天然醸造とはいえ、
掃除が行き届いているため、雑菌による嫌な匂いがしません。
これが蔵人の性格がそのまま醤油や味噌にでてくる所以です。
石孫本店の醤油や味噌はとても品が良く香り高いのです。

石孫本店 | 味噌・醤油醸造元
住所:秋田県湯沢市岩崎岩崎162 [Google Maps]
電話:0183-73-2901

Ishimago | Miso・醤油醸造元
住所:秋田県湯沢市岩崎岩崎162 [Google Maps]
電話:0183-73-2901

石孫は創業安政二年以来の正真正銘の手造りを続けるために、
現在も明治・大正期に建造された蔵を仕込みの場として使い続けております。
伝統を後世に残すことも仕事のひとつと考え、古来の手法にこだわって参りました。
正直、効率は良くありません。早く・大量に…という、時代の流れにも逆行しておりますが、
最先端の機械とは違う不思議を、蔵人が五感を研ぎ澄まし、肌で感じ、
自然の力を借りながらも直接手をかけて育ててこそ‘手造り’の良さ・美味しさを
お伝えできると信じ、日々努力しております。
伝統の技術と蔵人の感性。
‘本物の手造り’が、私たちの誇りです。

石孫本店の歴史

大正初期のものと思われる石孫の『醤油の栞』によりますと、

 “安政二年元祖孫左エ門ハ意ヲ醤油ノ醸造ニ志シ
 當時僅カニ一小村落ニ過キサリシガ氣候温和ニシテ
 水利ノ便他ニ優レ水質亦純良ナルヲ以テ醸造用ニ
 最モ適スルヲ知リ將來有望ナルヲ認メ自ラ研究シ試シムルニ
 品質佳良ノ醤油ヲ得タリ醸造業ノ基礎ヲ確立セリト云ウ…”

と、あります。

安政二年(1855年)初代石川孫左エ門は元々酒処であるこの地が
醤油醸造にも適することに着眼し、杜氏南部三郎を招いて研究を重ねました。
その後、当時の岩崎藩藩主・佐竹公へ醤油を献上、賛を博したこと
から広く一般にも用いられるようになり、事業の基盤を確立します。

当時はまだ醤油というものがこの地には広まっておらず、
‘たまり’が主流だったと言われています。
しかし、幕末・明治と時代が移り、中央・他県からの人や文化が入るにつれて、
醤油を使う習慣も定着したようです。
初代・孫左エ門が醤油醸造を始めたことは、
時代の先駆けだったと言えるでしょう。

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