Trencadis トレンカディス

トレンカディス(カタルーニャ語)というのは、
ガウディ作品の曲面を覆う、破砕タイル仕上げのことです。
近年の流行といえる、三次曲面をもった建築のいくつかは
継ぎ目のない滑らかな曲面仕上げをほどこしたものがあります。
去年、父親ととある三次曲面を屋根にもつ建築を見に行きました。
父が言うには、その滑らかな曲面をめざした建築は、
遠目でみているぶんには美しくみえるものの、
近くで見たときにはその曲面が破綻しているらしいのです。
僕の父親は、車のエクステリアデザインや陶芸の経験から、
普通の人より曲面にたいする意識は強いのだと思います。
おそらく図面やCGにおいては綺麗にみえる建築も、
その巨大さゆえに完成品の精度はせいぜい数ミリ。
コンマ数ミリの精度を求められる車のものさしで測ると、
建築のそれはあまりに粗末なのかもしれません。
その時、話してたのは、ガウディのトレンカディスについて。
プロダクトデザインで求められる精度で建築をつくるのが不可能であれば、
それを前提に建築を設計する必要があって、
それでも三次曲面の建築をつくる場合、
その曲面の破綻を回避する方法を建築家は考えなくてはいけない。
そのひとつの答えが、ガウディのトレンカディス
なんじゃないかっていう話をしていました。
つまり、破砕したタイルという、ディテールの集合によって覆うことで、
曲面の精度はそれほど気にならなくなる。
きっとこういう、提案→評価→問題点の発見→解決策の検討
を繰り返してようやく、後に傑作と呼ばれる建築作品は生まれてくるのだろな。
ガウディのつくった山に登って、その肌理の勾配を見たとき、
そんな想像を膨らましていました。

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参考:
【建築家】ガウディ研究:田中裕也のバルセロナ便り]
ガウディコレクション
L’església -Cripta- de la Colònia Güell
バルセロナ、ガイド。カタルーニャ地方の有名人のご紹介

ムデハル様式 アルカサル – estilo mudejar, Reales Alcazares

レコンキスタ後にキリスト教徒の王たちが改築した城。
キリスト教徒の王なのに、宮廷内ではイスラムの服装を着て、
アラビア語を使うほどイスラム文化に心酔していたそうです。
スペインの各地からイスラム職人を呼び寄せ、
漆喰細工の「乙女のパティオ」やヒマラヤ杉の円形天井「大使の間」をつくる。
いずれも、ムデハル様式の傑作ということができるでしょう。
敵であるはずのイスラム文化に心酔し
それを生活のなかに積極的に取り込もうとする
当時の人々の心情はどんな様相だったのだろうかとやはり疑問が残る。
なんで、キリスト教の王にあたる人間がそんなことできたのだろか。
日本における神道と仏教の関係とはまた違った歴史的な文脈がありそうですが、
いまの僕には勉強不足でわかりません。世界ふしぎ発見。

 ムデハル様式 (estilo mudejar)
 > スペインの建築様式で、
 > レコンキスタの後、残留イスラム教徒(mudajjan)の
 > 建築様式とキリスト教建築様式が融合したスタイル。
 アルカサル (Alcázar of Seville)
 > スペインのセビリアにあるスペイン王室の宮殿である。
 > 14世紀、ペドロ1世の命により、
 > イスラム時代の宮殿の跡地にムデハル様式で建設が始められた。
 > グラナダのアルハンブラ宮殿を意識した構造になっている。
 > 15世紀から16世紀にも増築されため、
 > ゴシックやルネサンスなどの様式も混じっている。

参考:
アルカサル (セビリア) – Wikipedia
ムデハル様式 – Wikipedia
アラゴンのムデハル様式の建築物 – Wikipedia
ビッグツアー:スペイン アンダルシアの旅: ムデハル様式建築

スペインの屋上

ヒラルダの塔からみえたスペインの家々。
一軒一軒、観察していたら屋上をバルコニーにして
植栽を置いている家が多いように感じました。
かわいらしい、屋上の家をみつけたのでメモ。

参考:
建築+街並探訪・スペイン [Link]
Category:スペインの建築家 – Wikipedia [Link]
Category:スペインの建築 – Wikipedia [Link]

トルコ・ランプ – turkish lamp

こちらも、同じくカサ・アンダルシ(Casa Andalusi)より。イスラム寺院などにも見られる様式のランプ。
こういうデザインのランプは、日本ではトルコ・ランプが有名ですね。
トルコは、国民の99%がイスラム教で、モスクにいくとやはりこの種類のランプが天井から吊るされているので、
どちらがオリジナルかは不明ですが、スペイン南部にのこるこうした様式が
イスラム教文化と同じ文脈で伝播してきたんだろうと思われます。
まだまだ、知りたいことがいっぱいあるなぁ。

 トルコ 宗教構成
 > 宗教構成は、宗教の帰属が身分証明書の記載事項
 > でもあることからかなり正確な調査結果が存在する。
 > それによると、人口の99%以上がムスリム(イスラム教徒)である。
 > 一方、各宗派に関しては、身分証明書にその記載事項がないことから、
 > 宗教のように詳細な宗派区分の把握ができておらず不明な点も多い。
 > その結果、一般的にはムスリムを信奉する
 > トルコ国民の大半はスンナ派に属するといわれているが、
 > 一方で同じイスラム教の中でマイノリティであるアレヴィー派
 > の信奉者がトルコ国内にも相当数存在しているとの主張もあり、
 > 一説には20%を越えるとも言われている。

参考:
イスラムという視点から見たヨーロッパ [Link]
Turkish Lamps | Rustic Chandeliers | Large Chandeliers [Link]
トルコ – Wikipedia [Link]
トルコ=イスラーム文化 – Wikipedia [Link]

スペイン陶器

もうひとつ、アラベスクではないですが、
飾ってあったお皿の柄が気に入ったのでメモ。
スペインにも日本で言う、「益子焼」や「有田焼」のように
その地域の土や焼き方を指す陶器の名前があります。
タラベラ・デ・ラ・レイナの伝統工芸品、タラベラ焼きが有名。
その土地の土からつくられる粘土や
植物の灰や溶岩からつくられる釉薬など、
地域特性を色濃く残す陶芸の文化は、
建築の地域特性、バナキュラー(土着的)建築を考える上で興味深いです。
ところで、話はかわりますが、
アルハンブラの装飾をみていても気がついたのですが、
アラベスク(arabesque)模様には、二種類ある気がします。
ひとつは、下の写真のような
三角形や四角形をつかった直線的な幾何学。
もうひとつは、アルハンブラ宮殿でメモしたような
植物や動物の形を反復することでつくる曲線的な幾何学。
とおもって調べていたら、Wikipediaに以下の説明。
さすが、ウィッキーさん。

 ふたつのモード
 > アラベスク美術には2つのモードがある。
 > 第一は世界の秩序を支配する原理を表現している。
 > これらの原理は、物体を構造的にしっかりとしたものにし、
 > さらに拡張することによって美しくする根本原理(つまり、
 > 角度そのものや、角度が作り出す静的なかたち、
 > とくに三角形をつなぎ合わせたトラス構造)が含まれる。
 > 第一モードにおいては、いずれの反復する幾何学形式も、
 > それぞれに固有の象徴性を有している。たとえば、
 > 四角形は四つの等辺を持っているところから 、
 > 自然界の等しく重要な要素と考えられていた、
 > 「土」「空気」「火」「水」の四大元素を象徴する。
 > 四大元素のどの一つを欠いても、
 > 物質的世界(四角形に円を重ねることで表現される)は崩壊し、滅亡してしまう。
 > 第二のモードは、植物の動的な性格に基づている。
 > このモードは、生命を与える母性(女性性)を表現する。
 > 加えて、アラベスク美術の例を多く検証し、
 > 第三のモード、すなわちアラビア書道に基づくモードの存在を主張する者もいる。

参考:
スペイン・タラベラの陶器販売 ~Estudio de ceramica~ [Link]
アラベスク – Wikipedia [Link]
アラベスクとは – はてなダイアリー [Link]
スペインの陶器の街タラベラ Talavera [Link]

アラベスク プレート – arabesque plate

カサ・アンダルシの壁にかけてあったアラベスク模様のお皿。

アラベスク

アラベスク(arabesque)は、モスクの壁面装飾に通常見られるイスラム美術の一様式で、幾何学的文様(しばしば植物や動物の形をもととする)を反復して作られている。幾何学的文様の選択と整形・配列の方法は、イスラム的世界観に基づいている。

ムスリムにとって、これらの文様は、可視的物質世界を超えて広がる無限のパターンを構成している。イスラム世界の多くの人々にとって、これらの文様はまさに無限の(したがって遍在する)、唯一神アラーの創造のありのままを象徴するのである。さらに言うなら、イスラムのアラベスク芸術家は、キリスト教美術の主要な技法であるイコンを用いずに、明確な精神性を表現しているとも言えよう。

参考:
アラベスク – Wikipedia [Link]
アラビア書道 – Wikipedia [Link]