香川県庁職員として地域に根ざした建築を追求した建築家・山本忠司さん(1923~98年)。県の建築技師で初めて日本建築学会作品賞を受賞した「瀬戸内海歴史民俗資料館」(1973年)をはじめ、「香川県立武道館」(1964年)、「栗林公園讃岐民芸館」(1970年)、「喫茶・城の眼」(1962年)、「まいまい亭」(1978年)など今も多くの名建築が残っています。

The exhibition of architect Mr. Tadashi Yamamoto is now open at The Kagawa Museum. Mr. Yamamoto worked as a civil servant employed by prefectural governments. “The Seto Inland Sea Folk History Museum (1973)” which was his masterpiece was awarded the Prize of AIJ (Architectural Institute of Japan). It is first in Japan for building engineer of prefecture.

“Kagawa martial arts stadium (1964)”, “Sanuki Folk Museum of Ritsurin Garden (1970)”, “Cafe Shiro-no-me (1962)” and “Maimai tei (1978)”. Many architectures which was designed by architect Tadashi Yamamoto remain today.


イサム・ノグチさんや流政之さんなど、1962年のオープン以来、香川に集うアーティスト達のサロンとして、交流の場となった喫茶「城の眼」。半世紀を超えた今も、当時の息吹を伝える空間として多くのファンを持ち、県外からの来訪者も多い。


特徴的な、店内奥の石壁は、ニューヨーク世界博日本館(設計:前川國男、外壁デザイン:流政之)の試作として施工されたもの。


音楽家・秋山邦晴さんの監修による庵治石でできた3~4tもあるスピーカー・ボックス。インテリアは石彫作家・空充秋(そらみつあき)さん。


曲線が美しい天窓。


山本さんの最大の代表作となった、瀬戸内海歴史民俗資料館 (1973年竣工)(日本建築学会作品賞受賞)。


イサム・ノグチさんと共に訪れたインド、アーメダバードのインド経営大学(ルイス・カーン設計)にインスピレーションを得て設計された。


特徴的な石積外壁は、イサム・ノグチ財団理事長の和泉正敏さんの施工。


五色台 こども館。まもなく取り壊されるらしい。


栗林公園 讃岐民芸館・瓦館(1970年)


香川県庁の土木部営繕課技師として、金子正則香川県知事の下、世界的建築家・丹下健三さんの香川県庁舎の計画にも携わりました。


「旧香川県立図書館(現香川国際交流会館/アイパル香川)」芦原義信さん設計


「香川県文化会館」大江宏さん設計

イサム・ノグチさんや流政之さんや空充秋(そらみつあき)さんなど、世界的に活躍する彫刻家と手がけた建築も多く、また大江宏さんの「香川県文化会館」や「香川県立丸亀武道館」、芦原義信さんの「旧香川県立図書館(現香川国際交流会館/アイパル香川)」、大髙正人さんの「坂出人工土地」、浅田孝さんの「旧五色台山の家(五色台少年自然センター)」といった著名な彫刻家や建築家との交流を通じて香川県に多くの公共建築が実現しています。

京都工芸繊維大学美術工芸資料館連携事業 
建築家・山本忠司~風土に根ざし、地域を育む建築を求めて~ 
日程:2019年1月26日(土)~4月7日(日)
休館:月曜日(ただし2月11日(月)は開館・2月12日(火)休館。 2月25日(月)~3月4日(月)は臨時休館)
時間:9:00~17:00
場所:香川県立ミュージアム 常設展示室4・5 [Google Map]
料金:一般 410円 団体(20名以上)330円

Architect Tadashi Yamamoto Exhibition
Date : Sat. 26th Jun. 2019 – Sun. 7th April 2019
Closed : Monday (Open on Mon 11th Feb. / Close Tue. 12th Feb. / Temporary closure 25th Feb. – 4th March)
Time : 9:00 – 17:00 (last entry by 16:30)
Place : The Kagawa Museum [Google Map]
Fee : Adult 410 yen / Group (20 or more) 330 yen / High school students and younger Free

香川県立ミュージアム

20世紀の香川を代表する建築家・山本忠司(1923-98年)は、香川県庁建築部門の職員として、香川県庁舎等の建設を通して、日本を代表する建築家の丹下健三、大江宏、大高正人、アーティストの猪熊弦一郎、イサム・ノグチ、流政之、インテリアデザイナーのジョージ・ナカシマらとの協働、交流の中で研鑽し、建築家としての才能を発揮していきます。山本の代表作でもある瀬戸内海歴史民俗資料館では、地方自治体職員の設計した建築としては稀有の日本建築学会作品賞を受賞します。
 山本は、早い段階から瀬戸内固有の伝統や風土に関心を寄せつつ、戦後モダニズム建築の新たな潮流を吸収することで、独特の建築のあり方を問い続けました。山本の建築は、「風土」「地域」をキーワードに語られることが多く、建築を通して場所や環境をデザインし、地域固有の伝統の形象を解釈して新たに再生させる、といった営みを重ねてきたとも言えます。
 今回の展示では、香川県庁在職時代を中心に、山本の残した建築11作品を中心に、写真家・市川靖史氏の建築写真、建築模型や設計原図を中心に、山本の設計した当時のインテリア(机・椅子)も実物で紹介します。本展を通して山本の21世紀にも通じる建築への想いを読み取ってください。
 

建築ツアー:「香川を代表する建築家 山本忠司の建築ツアー」 

概要 2019/2/10(日) 
Aコース  
10時~12時 
香川県立高松西高等学校 (高松市鬼無町山口257-1) 
参加無料 
※建物へは各自の交通手段でお越しください
(駐車場は施設内の駐車場をお使いください)
Bコース  
14時~16時 
瀬戸内海歴史民俗資料館 (高松市亀水町1412-2) 
参加無料 
※建物へは各自の交通手段でお越しください
(駐車場は施設内の駐車場をお使いください)
2019/3/9(土) 
Cコース  
10時30分~11時30分 喫茶「城の眼」(高松市紺屋町2-4)
12時~13時  まいまい亭(同 東田町18-5)  
13時30分~14時30分  讃岐民芸館(同 栗林町1-20-16 
※栗林公園内)
参加費500円(昼食代など含む) 
※高松市美術館北側入場口前に集合、
栗林公園讃岐民芸館で解散

各コース共通
◆定員 20名
◆主催 香川県建築士会高松支部青年部、香川県立ミュージアム
◆お申し込みフォーム https://goo.gl/Xps6eh
◆お問い合わせ 
香川県建築士会 (TEL)087-833-5377         
メールアドレス:takamatsuseinen@gmail.com

建築家・山本忠司展―風土に根ざし、地域を育む建築を求めて

山本忠司(1923~98年)は、香川県大川郡志度町(現・さぬき市志度)に生まれ、1943年に京都高等工芸学校(現・京都工芸繊維大学)図案科に入学、しかし、同年12月に徴兵されて香川県善通寺町の陸軍第11師団に入営、高松で敗戦を迎える。同年10月に改組された京都工業専門学校建築科へ復学し、1948年の卒業後は香川県に入庁、土木部営繕課技師として香川の戦後復興のために働き始める。一方で、山本は、1952年に北欧フィンランドで開催されたオリンピック大会に三段跳びの日本代表選手として出場する。日本が敗戦から独立を果たし、国際社会へ復帰する記念すべき歴史の只中にもいたのである。この時、山本は、ギリシアやイタリアにも立ち寄り、パルテノン神殿などにも触れている。そして、帰国直後に手がけたのが屋島陸上競技場(1953年)であり、北欧モダニズムの影響が読み取れる。また奇遇にも、同年から、金子正則知事(1907~96年)の指揮の下、香川の戦後復興の象徴となる丹下健三(1913~2005年)の県庁舎計画にも携わり始める。山本は、この経験を通して、最前線の丹下の仕事に学びつつ、地元香川で培われてきた木工事や石材加工の職人技の高さや素材の豊富さ、手仕事として実感できる伝統の厚みに目覚めていく。その成果は、香川県立武道館(1964年)や栗林公園讃岐民芸館(1970年)などに結実する。また、県庁舎の石工事を担当した地元の岡田石材工業の岡田賢(1924~2011年)や彫刻家の流政之(1923年~)ら気心の知れた仲間たちと、自らの創造の原点となる喫茶・城の眼(1962年)を完成させる。
 そして、日本建築学会四国支部の民家研究グループの一員として携わった民家調査も、その視点を確かなものにしていった。調査の一部は、1970年に、彫刻家のイサム・ノグチ(1904~88年)の邸宅、通称“イサム家”となる丸亀の庶民的な武家屋敷を移築する設計の仕事としても実を結ぶ。続いて取り組んだのが瀬戸内海歴史民俗資料館(1973年)であり、これによって県の建築技師としては初となる日本建築学会作品賞を受賞する。
 このように山本は建築課を率いて地元香川に根づく建築の姿を模索しながらも、大江宏、芦原義信、大髙正人、浅田孝ら著名な建築家に仕事を依頼して、香川県の公共建築の水準の向上にも努めた。また、浦辺鎮太郎や松村正恒、神代雄一郎らとの親交を深め、共同で瀬戸内海建築憲章(1979年)を発表する。山本は2010年に始まる瀬戸内国際芸術祭に結実する思想的な広がりをこの時点で提示していたのである。
 没後初となるこの建築展では、山本忠司の求めた、風土に根ざし、地域を育む建築とその建築思想の一端を、県庁在籍時の仕事を通じて紹介し、地域主義的建築の可能性と現代への示唆を読み取ろうとするものである。

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