【閉店】多くの芸術家が愛した讃岐料理「まいまい亭」 – [Closed] Maimai-tei, rendezvous for artists

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創業1978年、「まいまい亭」が2022年末に閉店し、45年の歴史に幕を下ろしました。香川県の文化を育んできた流政之さんやイサム・ノグチさんなど多くのアーティストに愛されたお店です。ありがとうございました。

Established in 1978, “Maimaitei” closed its doors at the end of 2022, bringing an end to its 45-year history. The restaurant was loved by many artists, including Masayuki Nagare and Isamu Noguchi, who nurtured the culture of Kagawa Prefecture. Thank you very much.

讃岐郷土料理、お四国へんろ料理、さぬき風土料理の店、骨董、地酒、オリジナルワイン

~お客様へのご挨拶~
2022年12月30日記

コロナ禍での臨時休業を余儀なくされ、再開を目指しておりましたが、 年末ぎりぎりまで検討を重ねた結果、このたび、 まいまい亭を閉業することにいたしました。 15歳より包丁ひとすじ66年余、 昭和53年6月の開業以来、大勢の方々にお力添えをいただきながら、 究極のさぬき郷土料理に取り組んでまいりました。 いつかは包丁を置かなければならないことを覚悟はしていたものの、 一切の妥協を許さない職人気質を今さら改めることもできず、 苦渋の決断をいたすことになりました。 今まで応援してくださった皆様、マスコミの方々をはじめ、 臨時休業中に、何度もご予約のお電話をくださり、再開を待ってくださっていた お客様方のご期待に添えず、 なにより、自分自身が納得の行く幕引きでないことが、 口惜しく、残念でたまりません。 おひとりおひとりにご挨拶をしたいところですが、それも叶いませんので、 この場を借りて、皆様に心より御礼申し上げます。 閉業にあたり、 店で使っていた大量の骨董の器(伊万里、漆器、明治印判の大皿、中皿、小皿、 徳利、蕎麦猪口、湯飲みなど)を これから開業される方、同業者、骨董業者さま、まいまい亭のファンでいてくださった方々に、 安価にてお譲りしたいと考えております。 (調理器具、厨房器具、消耗品(割り箸など)グラス、おしぼり入れなどの備品も お譲りできます。) まいまい亭をはじめる時に関わって下さった、イサムノグチ、流政之両先生に 「料理は器が命」 「昔ながらの郷土料理を出すんだから、器も古いものにすればいいよ。」 とアドバイス頂いたことがきっかけで、一緒に骨董屋を廻り、 骨董について1から教えて頂きながら買い集めた器たち。 料理の味と同じくらい大切にしておりました。 どなたかに引き継いで使って頂ければ、きっと器たちも喜ぶと思います。

・骨董などを御覧になりたい方は、すみませんが、前日までにお電話にてご予約下さい。
ご予約は、090-7577-7467まで。
毎週、金・土・日・月 12:00~16:00限定で店内を御覧頂けます。
(ご予約に合わせて店を開けますので、ご予約がない場合、 上記の時間帯でも、開いていない場合があります。)
※かなりの数の骨董がありますので、すぐになくなることはないです。 骨董をお譲りする期間は決めておりませんので、HPをご確認のうえ、 ご予約をお願いします。
※上記以外の日に御覧になりたい場合は、まれに 対応できるかもしれませんので、とりあえずお電話にてご相談ください。 なお、2FのGalleryまいまい堂は、今までと変わらず、ご予約電話を いただけたら、御覧頂けますのでお気軽にお電話ください。

Galleryまいまい堂 
予約専用電話:090-7577-7467
住所:〒760-0058 香川県高松市東田町18-5
まいまい亭:087-833-3360
店主 松岡柳士 おかみ 松岡久二子

香川にアトリエを構えた世界的な彫刻家イサム・ノグチさん、アメリカの世界貿易センタービルの作品をつくった彫刻家の流政之(ながれ・まさゆき)さん、瀬戸内海歴史民俗資料館や喫茶 城の眼(しろのめ)を手がけた建築家の山本忠司さん、元香川県知事の金子正則(かねこまさのり)さんなど。どの方も同時代に、香川県の芸術文化を支えてきた方々が足繁く通ったお店がここ「まいまい亭」です。
店主の松岡柳士さん、女将の久二子さん夫妻のお話を聞きながら、イサム・ノグチの作った囲炉裏を囲みながら、愛した讃岐料理「ひらら煮」を頂きました。とても楽しい時間をありがとうございました。また、行きたいと思わせてくれるとても温かい雰囲気のお店です。

You can eat traditional local cuisine of Kagawa pref. at Maimai-tei. This shop is a long standing shop established 40 years ago and located at Takamatsu city, near main shop street. Sculptor Isamu noguchi, sculptor Masayuki Nagare, Architect Tadashi Yamamoto, Prefectural governor Masanori Kaneko love their dishes. The shop is a rendezvous for artists. I ate Hirara-ni of a fresh-water fish which is loved by Isamu Noguchi.

まいまい亭
住所:香川県高松市東田町18-5 [Google Map]
電話:087-833-3360
定休:不定休、要予約

日替わりコース料理:
ランチ 1,500円〜
ディナー 4,000円〜
旬の一品料理 300円〜

Maimai-tei
Address : 18-5 Higashida town, Takamatsu city, Kagawa pref., Japan [Google Map]
Tel : 087-833-3360
Closed : Irregular holidays / Reservation required

changing every day changing every day:
Lunch 1,500yen-
Dinner 4,000yen〜
Food using seasonal ingredients 300yen-


川魚のひらら煮。この日はアマゴで、季節ごとに魚は変わります。イサム・ノグチさんの好物で、「これを食べると讃岐に戻ってきた気がするんだよ」と高松に戻ってくるたびに食べておられたそう。その季節の川魚をかまどや囲炉裏の残り火で3日3晩も炊くことで、味が染み込み柔らかく骨まで無駄なく食べることができます。冷蔵庫がなかった時代に、暮らしの知恵が生んだ保存食です。


イサム・ノグチさん作の囲炉裏。火に強い豊島石でつくられています。


火を囲んで食事をするのっていいですね。古代の人もこうして火を囲んで食事をしていたのだろうか。


菜切鍋。833年前、1185年の源平合戦(屋島の戦い/治承・寿永の乱)の際に、炊事をするときにまな板がなかったので弁慶がお地蔵さんの背中をまな板代わりにして野菜の汁を作ったと伝えられています。


その言い伝えにそって、再現した讃岐の郷土料理です。味付けは、当時も使われていた調味料の塩と醤(ひしお)のみとシンプルなもの。


高松市牟礼町にある、弁慶がお地蔵さんの背中で野菜を切った「菜切地蔵(なきりじぞう)」にちなんだ鍋料理で、「武蔵坊弁慶石地蔵の背に長刀を以って菜を切り汁となして義経に奉る。時に義経『弁慶がこしらえし菜は武蔵坊』。弁慶はこれにこたえ『それを知りつつ九郎判官』」(全讃史)と記されています。


源平屋島の戦い(やしまのたたかい)は、平安時代末期の1185年3月22日(元暦2年/寿永4年2月19日)に讃岐国屋島(現在の香川県高松市)で行われた戦いです。中央に福原の御所、右方は生田の森の争い、上部は一ノ谷、左方は須磨の浦での戦いが描かれている。『源平合戦図屏風』 赤間神宮所蔵。


かえりとまんばのご飯。「かえり」は、カタクチイワシの幼魚。ちりめんから、体長3~5cm位大きくなってくるとイワシらしくなってくることから「イワシに返る」という意味から「かえり」と呼ばれるようになったそうです。
「まんば」は高菜の一種で、香川県の郷土野菜。東讃では「まんば」、西讃では「百花(ひゃっか)」とも呼ばれます。「まんばのけんちゃん」という郷土料理は今でも普通に食べられていて、居酒屋のメニューでもよくでてきます。別名、「百花の雪花(ひゃっかのせっか)」。


左は川島猛さんの絵、右は猪熊弦一郎さんの絵、照明はイサム・ノグチさん「AKARI」シリーズ。


他にも香川県を代表する世界的な作家の作品が自然に飾られています。


正月用 吉祥絵付菱形皿など。骨董品の販売もしています。


見事なコレクション。右側に彫刻家・流政之さんの作品。


料理人の松岡柳士(まつおかりゅうし)さん。15歳よりこの道に入門。生間流式包丁の正式作法を修める。茶懐石料理、精進料理、普茶料理を経て、昔ながらの食材と調理法で郷土の時代料理を現代に再現。


「アート県」と言われている香川県ですが、その根底にあるのは、実は瀬戸内国際芸術祭でも、世界的に知られているアートサイト直島(NAOSHIMA)でもありません。実はそれよりもっと前。彫刻家 イサム・ノグチさん、彫刻家 流政之さん、建築家 山本忠司さん、漫画家 和田邦坊さん、画家 猪熊弦一郎さん、建築家 ジョージ・ナカシマさん、そして元香川県知事金子正則さんなど。1950-60年代に活躍した多くの方々が、香川県の芸術文化を振興し、いまもなおその多くの痕跡が残されています。ぜひ、アートやデザインや工芸が好きで香川県に旅行に来られた方には、現代アート以外にもこうした方たちが残した作品や、交流した場所を味わっていただきたいです。

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2 Comments

  1. 鍋田 陽一

    貴店を銀座三丁目の{桜ショップ}で知りました。
    高松に帰った時が楽しみです。

    • yousakana

      ぜひ、帰郷の際に足を運んでみてください。とても素敵なご夫婦が営まれています。

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