赤穂の塩浜師からはじまった木桶仕込の醤油、乾燥に強い胡麻、天日で乾燥させるそうめん、風で受粉する風媒花のオリーブ。小豆島に古くから伝わる食文化は『風』に関係するものが多く、日本書紀にも記載のある日本三大奇勝のひとつ寒霞渓(かんかけい)からは、『寒霞渓おろし』という風が吹き下ろします。

Soy sauce made in wooden vats, which originated with salt farmers in Ako; sesame seeds, which are resistant to drying; somen noodles, which are dried in the sun; and olives, a wind-pollinated flower that is pollinated by the wind. Many of Shodoshima’s long-established culinary traditions are related to the wind, and the wind called ‘Kankakei oroshi’ blows down from Kankakei, one of the three most scenic spots in Japan mentioned in the Nihon-shoki (Chronicles of Japan).

考古学者の乗松さんたちと、江戸や大正の古い観光案内図をみながら小豆島の寒霞渓を歩いて撮影してきました。鳥や鹿や筍や松茸に見立てた奇岩がごろごろしているのですが、時代ごとに見立てやそもそも名前をつける岩が違っていたり、同じ岩の絵でも横の松の樹が大きくなっていたりしてとても面白かったです。

I went to the gorge of Kankakei at Shōdoshima island, Seto Inland Sea with guide map of Edo period. It becomes particularly spectacular during the autumn color season. In 1927 Kankakei was selected as one of the 100 Landscapes of Japan.


寒霞渓には表12景・裏8景と呼ばれる20の名勝があり、
紅葉シーズンにはとくに多くの登山客で賑わいます。


この20の名勝ができるより前に江戸時代の小豆島名所図会(暁鐘成作/江戸後期)という
いまでいう小豆島の観光案内図には、
別の見立てで岩がいろいろなものにみたてられて紹介されています。
いまの寒霞渓とでどのような違いがあるのかひとつひとつ確かめるというそんな旅です。


地面に昔の観光案内図を広げてひとつひとつ、岩の形を確認します。


大正や昭和に描かれた小豆島寒霞渓最新案内真図(著:大森國松)


昔の案内図には、今はもうない茶屋も描かれており、
その場所を探し歩くと、それらしき石積みや基礎を発見。


石を積んで平地をつくっています。


かつて茶屋があった場所だろうか。基礎となる石が残っています。


昔は「てんのぞき」と呼ばれていた第1景「通天窓(つうてんそう)」
左の岩は、小鳥のようにも見えます。


車進入禁止


第3景、「錦屏風(きんびょうぶ)」
屏風を立てたような形をしています。
秋には、赤・黄・緑の錦絵をみるようで美しい大きな岩です。


こちらがその小豆島名所図会。小豆島名所図会をみながら実際の景色とくらべてみます。
面白かったのは石はそのままでも周りの松の木が大きくなっていること。


第5景、「蟾蜍岩(せんじょがん)」
ヒキガエルの形。


石に刻まれた「不思議」


江戸や大正時代の図を確認し、写真を撮りながら歩くのでとても時間がかかります。


第6景「玉筍峰(ぎょくじゅんほう)」
タケノコに見立てています。


第7景「画帖石(がちょうせき)」


旅の思い出を写し描くスケッチブックのように
岩に横線が描かれています。


層雲壇(そううんだん/第8景)


江戸時代に描かれた案内図では、
絵師によって正確に岩の形が書き写されていることがわかります。
ここでも松の木だけが大きくなっています。


野生の猿もいます。


紅葉

第10景「烏帽子岩(えぼしいわ)」
第10景「烏帽子岩(えぼしいわ)」


神主さんがかぶる冠、烏帽子に見立てられた岩。
ちょっと押したらコロコロ落ちていきそうです。


寒霞渓山頂に登るとこの景色。瀬戸内海を一望できます。


寒霞渓から吹き下ろす風が醤油づくりに適しています。


この断崖の迫力。


せとうち暮らしの大池くん。まるで、瀬戸内の石川直樹。


ロープウェイの色が最近新しくなりました。


ロープウェイで山頂にいき、下るルートがオススメ。


私たちはロープウェイを使わずに表12景を登り、
ここから、裏8景を見に山を下ります。


なタ書のキキさん。険しい山ではないので軽装でも登ることができますが、
足元は滑りにくい靴がオススメです。


裏8景の最初の岩、第1景「鹿岩(しかいわ)」
首が長いのでシシガミ様にもみえます。


第2景「松茸岩(まつたけいわ)」


カメラマンもたくさん


黄色


木を「コツコツ」する音が聞こえると思って
探してみたらキツツキが巣をつくっていました。


第3景「石門」
火山角礫岩(集塊岩)がつくる穴


小豆島霊場第十八番「石門洞」
香川県小豆郡小豆島町神懸通乙168 [Google Maps]


蜂の巣でしょうか。


第5景「幟岳(のぼりたけ)」
幟(のぼり)のようにまっすぐ天にむかって伸びています。
別名「天柱岳(てんちゅうだけ)」


第6景「大亀岩(だいきがん)」第7景「二見岩(ふたみいわ)」
この辺りになってくるとちょっと苦しいような見立ても。
同じ岩を角度を変えて見立てをかえていたり。


第8景「螺貝岩(ほらがいいわ)」
山伏が吹く、ほら貝のように螺旋状にねじれた形をしています。
この裏側に、縄文遺跡があります。それはまた別途紹介しようとおもいます。
つづく。

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