大学の授業で今学期から、
Advanced Architectural Studiesというコースの選択科目で、
“Book-Building” (Willem de Brujin) という授業を受講しております。
その最初の授業がなかなか面白かったのでメモ。
授業の内容は、本と建築の関係や
立体物としてのグラフィックデザインを学ぶ授業。
コース初日、普段はなかなかはいれないロンドン大学の巨大な書庫に行き、
歴史的な本をみなで読み解くというもの。
読み解くといっても、本の内容をみなで読むということより、
その WaterMark (透かし) や紙の接着の仕方などから
製本手法、紙の原材料、出版社、年代、制作意図などを理解するというもの。
ひとり1冊、本を与えられてその本を調べるのですが、
僕の調べた本は、イタリアの建築家・版画家 ピラネージの本。
大きさは縦が60~70cmくらい。中身は、ラテンイタリア語で書かれています。
製本は紙の折り数から、
“Folio (one fold)” “Quarto(two folds)” “Octavo(tree folds)” と
類型化されるのですが、この本はその大きさから、
Folioだと思われ、ページごとに背に接着しています。
紙はこの時代にしてはかなりの高品質で、原材料は、linen だと思われます。
紙を透かしてみるとグリッドの線がみえるので、
木枠にはいったワイヤーメッシュをつかって紙を漉いてつくったことがわかります。
当時の製本技術については、
“A New Intoroduction to Bibliography (PHILIP GASKELL)” を参照。
イラスト部分とテキスト部分は別々に印刷されている。
写真はこの本の一部分です。
イニシャルレターの「S」が非常に精緻なイラストになっております。
この「S」の文字の裏に描かれているのは、battle ship。
先端の剣は他の船を攻撃するものです。
ちなみに、イラストは”copperplate (銅版画)” によって描かれている。
本の内部に描かれた、彼の銅版画は主にローマの風景や建築。
廃墟や教会、上水路などが非常に細かく描かれています。
人々が本来のサイズよりだいぶ小さく描かれていることから、
当時の建築に対する畏敬の念を読み解くことができます。
 > 18世紀イタリアロマン派を代表する版画家。ヴェネティアで生まれ建築を学び、
 > ローマで活躍。大版の版画シリーズを精力的に制作した。
 > この版画は代表作「ローマの景観=Veduta di Roma」の一葉。
 > 二重円の百合花紋 (a Fleur de Lys in Double Circle watermark )
 > の透かしのある紙に刷られた状態の良い初版。
 > ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ
 > (Giovanni Battista Piranesi 1720年10月4日 – 1778年11月9日)は
 > 18世紀イタリアの画家、建築家である。
 > ローマの景観を描いた版画でも知られる。
 > ヴェネツィア出身。1740年にローマに出て、
 > ローマ教皇の支援を受けて古代遺跡の研究を進めた。
 > また版画を学び、ローマの古代遺跡や都市景観を版画に描き、
 > 『ローマの古代遺跡』『ローマの景観』などを刊行した。
 > 古代遺跡を描いたピラネージの細密な版画は
 > 新古典主義建築の展開に大きな影響を与えた。

参考:
Watermark – Wikipedia, the free encyclopedia [Link]
ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ – Wikipedia [Link]
編集出版組織体アセテート∥ピラネージ建築論 対話 [Link]
静岡県立美術館【主な収蔵品の作家名:ジョヴァンニ・バッティスタ [Link]
ピラネージ PIRANESI [Link]
ジュヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ Giovanni Battista Piranesi [Link]