大正時代の建物が国の登録有形文化財に登録されている旧御殿水源地(高松市水道資料館)が耐震化工事を終えてリニューアルオープンしました。100年以上前に高松市内に近代水道を敷設するために整備された浄水場で、白い壁と水色の柱が特徴的な木造の洋風建築です。写真に映えるため、結婚式の前撮りやコスプレ撮影に使われることも多く、平日の昼間に訪れたのですがこの日も若い人が撮影にこられていました。この建物を管理する香川県広域水道企業団は、広く民間事業者からの意見を募り、文化的価値の高い美しい洋風建築を活かして施設の有効活用の方法を探っています。

The buildings of Takamatsu city Waterworks Data Library are one of the nation’s registered tangible cultural properties. These western style wooden buildings that remain standing were built in the Taisho period. This Water Treatment Plant was built for the development of modern water supply system at Takamatsu city more than 100 years ago.

高松市水道資料館
住所:香川県高松市鶴市町 御殿1360 [GoogleMap]
時間:10〜17時まで
休館:年末年始(12月29日から1月3日まで)
料金:無料
電話:087-839-2711

Takamatsu city Waterworks Data Library
Address : 1360 Goten, Turuichi town, Takamatsu city, Kagawa pref., Japan [GoogleMap]
Time : 10:00-17:00
Closed : 29th Dec. – 3rd Jun.
Fee : Free
Tel : 087-839-2711


事務所は、1986(昭和61)年まで、事務室や宿直室として使用していました。建物はL字型になっていて、建物南東の出隅部に玄関が設けられています。建物を支える基礎は底部が花崗岩敷き、立ち上がり部が出隅を石で補強したレンガ積み(イギリス積み)の洋式基礎になっています。


外壁は横羽目板張りの大壁づくりで、腰壁は堅羽目板張りでできています。玄関のドア上部には明かり取りの欄間が設けられているほか、玄関部の破風は美しいアーチ状になっていて、和洋折衷の大正時代の建築様式をよく表しています。


喞筒場(そくとうじょう)


喞筒場(そくとうじょう)は、1986(昭和61)年まで、香東川から取り込んだ水を汲み上げるためのポンプ(低揚ポンプ)と、旧御殿水源地で作った水道水を西方寺配水池に送るためのポンプ(高揚ポンプ)を設置する、ポンプ場として使用していました。


建物全体は洋小屋組でしっかりとしたキングポストトラスで構成されています。


建物はT字型になっていて、建物内の西側には低揚ポンプを設置するための地下室(深さ約4m)があります。


イギリス積みの煉瓦壁。

建物を支える基礎は底部が花崗岩敷き、立ち上がり部が腰壁も含めて1枚半の厚さのレンガ積みとなっていて、建物全体は洋小屋組でしっかりとしたキングポストトラスで構成されています。


外壁は横羽目板張りで、妻側上部には明かり取りのために半円形の高窓が設けられています。


江戸時代の水道設備、井戸側。高松城で発見された江戸時代の井戸側(井戸の周囲に設けた囲い)です。高松城下では、1644(正保元)年に、高松藩主・松平頼重公の命で、湧水を水源とする水道が整備されたと考えられています。当時の水道は、地中に埋めた木樋(もくひ)と呼ばれる木製の管や土管などを使って、水源から個人用の井戸や共同の井戸へ水を引き、釣瓶(つるべ)(井戸の水を汲み上げるために、縄や竿を取り付けた桶)などで汲み上げるものでした。


集水埋渠東方人孔(しゅうすいまいきょとうほうじんこう)


レンガ造竪孔 1915(大正4)年6月30日竣工


集水埋渠東方人孔は、建設されてから現在に至るまで、香東川の伏流水を取り込むための施設として使用しています。旧御殿水源地西側を流れる香東川の右岸に、川を横断するように設置した暗渠を点検するための人孔(マンホール)として建設されたもので、川の伏流水を利用した水源地施設としては国内最初期のものです。レンガを積み上げた構造で、内部は約9mもの深さがあり、天端には花崗岩が貼られています。また、川の増水時に水圧や流木等で破損することが無いよう、川とほぼ平行に建設されているほか、両端が水切り状になっています。(香川県広域水道企業団


石積擁壁。1918(大正7)年頃竣工。旧御殿水源地敷地の造成に伴い、敷地の北面と東面を区画するために建設されました。


花崗岩の割石を積み上げたもので、隅角部を設けないよう、敷地に隣接する水路に沿って湾曲させています。


建設から約100年が経過しますが、ハラミ等はほとんど見られず、良好な状態を保っています。

高松市水道資料館
住所:香川県高松市鶴市町 御殿1360 [GoogleMap]
時間:10〜17時まで
休館:年末年始(12月29日から1月3日まで)
料金:無料

Takamatsu city Waterworks Data Library
Address : 1360 Goten, Turuichi town, Takamatsu city, Kagawa pref., Japan [GoogleMap]
Time : 10:00-17:00
Closed : 29th Dec. – 3rd Jun.
Fee : Free

1890(明治23)年高松市制施行後、都市機能が整備される中で、都市の発展上一大要素となる上水道の創設を急務とする意見が起こりました。1911(明治44)年に東京帝国大学教授中島鋭治工学博士に調査を依頼し、現在の香東川の伏流水を水源とする上下水道敷設計画を進めました。1914(大正3)年に許可を得て、11月工事に着工し、1921(大正10)年9月に給水を開始しました。工事費は、144万6,117円で、給水能力は、一日最大給水量8,347㎥でした。

この資料館は、創設時の事務室とポンプ室で、1916(大正5年)から1918(大正7年)にかけて建てられた木造瓦葺平屋建の西洋風建築物です。館内には、江戸時代の配管図や創設時のポンプ、現在の水道のしくみなどを展示しています。近代水道百選、登録有形文化財、日本の近代土木遺産などに指定されています。

旧御殿水源地とは、高松市の近代水道創設のために建設された浄水場のことで、大正10(1921)年9月1日に給水を開始しました。

敷地内とその周辺には、大正4(1915)年に竣工した集水埋渠東方人孔〔しゅうすいまいきょとうほうじんこう〕を始めとして、大正6(1917)年に竣工した事務所と倉庫、大正7(1918)年に竣工した喞筒場〔そくとうじょう〕(ポンプ場)、竣工時期は不明であるものの、古写真から事務所などと同時期に建設されたと考えられる北門門柱や擁壁が、ほぼ建設当時の姿のまま現存しています。

これらの建造物は、歴史的・文化財的価値が高い建造物として、昭和60(1985)年には厚生省(当時)の「近代水道百選」に選ばれたほか、平成9(1997)年には喞筒場と事務所が、また、平成28(2016)年には倉庫、集水埋渠東方人孔、北門門柱、擁壁が、国の「登録有形文化財」に登録されました。

このうち喞筒場は「高松市水道資料館」として活用しており、館内では、江戸時代に使われていた土管や木桶、近代水道創設期に使われていたポンプ、各種機器、図面などの展示により、江戸時代から始まる高松市の水道の歴史を紹介しています。