小豆島の伊喜末(いぎすえ)地区に伝わる独特のサツマイモ保存方法。冬の風物詩『つぼいけ』 – A unique method of storing sweet potatoes, passed down in the Igisue district of Shodoshima. ‘Tsuboike’—a winter tradition.

TAG :   CATEGORY : Fieldwork / Food

食の風景を記録しています。今日は、島旅仲間と小豆島・伊喜末(いぎすえ)地区へ。島の中でこの地域だけに伝わる風習、「つぼいけ」と「芋づるの塔」を撮影しにいってきました。

I’m documenting scenes of food culture. Today, I travelled with my island-travelling companions to the Igisue district on Shodoshima. We went there to photograph ‘Tsuboike’ and the ‘Tower of Sweet Potato Vines’—customs unique to this area of the island.

土の中に冬をしまう――小豆島・伊喜末の「つぼいけ」
Storing the winter away in the earth—‘Tsuboike’ in Igisue, Shodoshima

小豆島の西部、土庄町伊喜末(いぎすえ)には、収穫したサツマイモを土の中で冬越しさせる、独特の保存方法が伝わっています。地元で「つぼいけ」あるいは「いもつぼ」と呼ばれる、伊喜末の冬の風物詩です。 伊喜末は、海に面した日当たりのよい砂地の集落。かつては山裾から山頂近くまで段々畑が広がり、サツマイモと麦の一大産地でした。農林水産省の資料によれば、かつて伊喜末ではサツマイモと麦が盛んに栽培され、40年ほど前には約39haあった農地が、調査時点では11haまで減少していました。麦は一度地域から姿を消し、サツマイモもわずかに残るのみとなっています。

この地域で育てられてきたサツマイモは「四海の芋」と呼ばれ、砂地を生かした栽培によって甘く、ほくほくした芋として知られてきました。現在も伊喜末では、昔ながらの栽培方法を守りながらサツマイモづくりが続けられています。 サツマイモは寒さに弱い作物です。そこで収穫した芋をすぐに納屋へしまうのではなく、地面に穴を掘り、麦わらを敷き、その中に芋を入れて、さらに麦わらと土で覆います。地中の温度変化を利用して、冬の冷気から芋を守るのです。

記録されている「つぼいけ」には、深さ約1m、2m四方ほどの穴を掘り、底や周囲に麦わらを敷き詰め、数百個のサツマイモを入れて、その上を麦わらと土で覆う例があります。一方、近年の実例では深さ約70cmの穴に約450kgの芋を保存する方法も確認されており、穴の大きさや構造は農家によって異なっていました。

この「つぼいけ」が単なる農家の工夫ではなく、地域固有の文化として認識されていたことを示す資料があります。香川県の埋蔵文化財調査年報には、伊喜末について、調査対象として「いもの『つぼいけ』」が記録され、「分布調査」が行われたことが残されています。つまり、遺跡のような考古資料だけでなく、地域に残る農業の営みそのものが調査対象となっていたのです。

In Igisue, Tonosho Town, in the western part of Shodoshima island, a unique method of preserving harvested sweet potatoes by storing them underground over the winter has been passed down through the generations. Known locally as ‘Tsuboike’ or ‘Imotubo’, it is a winter tradition in Igisue. Igisue is a sunny, sandy village facing the sea. In the past, terraced fields stretched from the foothills to near the mountain peaks, making it a major production centre for sweet potatoes and wheat. According to data from the Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries, sweet potatoes and wheat were once extensively cultivated in Igisue; however, the area of farmland, which stood at approximately 39 hectares some 40 years ago, had decreased to 11 hectares by the time of the survey. Wheat has since disappeared from the region entirely, whilst only a small amount of sweet potato cultivation remains.

The sweet potatoes grown in this region are known as ‘Shikai Imo’ and have long been renowned for their sweetness and fluffy texture, thanks to cultivation methods that make the most of the sandy soil. Even today, sweet potato cultivation continues in Ikisue, whilst preserving traditional farming methods. Sweet potatoes are a crop that is vulnerable to the cold. Therefore, rather than storing the harvested tubers immediately in a barn, a hole is dug in the ground, lined with wheat straw, filled with the tubers, and then covered with more wheat straw and soil. This method utilises the temperature fluctuations underground to protect the tubers from the winter chill.

Records of ‘tsuboike’ describe pits approximately 1 metre deep and 2 metres square, lined with wheat straw at the bottom and around the sides, into which several hundred sweet potatoes were placed before being covered with wheat straw and soil. Meanwhile, recent examples have confirmed a method of storing approximately 450 kg of sweet potatoes in a pit about 70 cm deep, indicating that the size and structure of the pits varied from farmer to farmer.

There is evidence to suggest that this ‘tsuboike’ was recognised not merely as a resourceful adaptation by farmers, but as a culture unique to the region. The Annual Report on the Survey of Buried Cultural Properties in Kagawa Prefecture records that ‘sweet potato “tsuboike”’ was listed as a subject of investigation in relation to Ikisue, and that a ‘distribution survey’ was carried out. In other words, it was not only archaeological materials such as ruins that were the subject of investigation, but the very practice of agriculture itself, as it persisted in the region.


残るは島で1軒のみ…昔ながらの保存法「いもつぼ」を伝えたい 香川・小豆島 – YouTube

小豆島土庄町伊喜末(いぎすえ)地区に伝わる独特のサツマイモ保存方法。小豆島、冬の風物詩のひとつ「つぼいけ」

小豆島土庄町伊喜末(いぎすえ)地区に伝わる独特のサツマイモ保存方法。小豆島、冬の風物詩のひとつ「つぼいけ」

小豆島土庄町伊喜末(いぎすえ)地区に伝わる独特のサツマイモ保存方法。小豆島、冬の風物詩のひとつ「つぼいけ」

小豆島土庄町伊喜末(いぎすえ)地区に伝わる独特のサツマイモ保存方法。小豆島、冬の風物詩のひとつ「つぼいけ」

小豆島土庄町伊喜末(いぎすえ)地区に伝わる独特のサツマイモ保存方法。小豆島、冬の風物詩のひとつ「つぼいけ」

また、伊喜末の農業を考えるとき、もう一つ重要なのが「麦」と「牛」です。 サツマイモを収穫した後、芋そのものは「つぼいけ」に保存する。一方、地上に残った芋づるは乾燥させ、「芋づるの塔」として積み上げました。これは、かつて耕作用の牛に与える飼料として利用するためのものでした。農林水産省も、伊喜末の「芋づるの塔」を、芋づるを自然乾燥させて牛の餌や堆肥にする「古くからの知恵」と位置づけています。

つまり、伊喜末の農業には、

サツマイモ → 食用・保存 芋づる → 牛の飼料・堆肥 麦 → 麦わらをつぼいけに利用 牛 → 農耕・堆肥 堆肥 → 畑

という、地域の資源を循環させる仕組みがありました。 「つぼいけ」は、その循環の一部分だったと考えることができます。 そして、この保存方法が伊喜末に残った背景には、土地そのものの性質があります。海辺の砂地は水はけがよく、伊喜末ではその砂地を利用してサツマイモを栽培してきました。伊喜末八幡神社の馬場も砂地で、かつてはそこで「つぼいけ」がつくられていました。土の中という天然の環境を利用して、寒さに弱い作物を冬越しさせる。そこには、地域の気候、地質、作物の性質を長年の経験から理解してきた農家の知恵があります。

しかし、この風景は急速に失われています。近年の記録では、10年ほど前には20か所以上あった「いもつぼ」が、2020~21年頃には1か所まで減少していたと報じられています。保存された芋は翌年3月ごろに掘り出され、販売したり、次の作付けの種芋にしたりしていました。 農業が変わり、麦が消え、農耕牛がいなくなり、耕作地が減っていくなかで、「つぼいけ」もまた姿を消そうとしています。

それでも伊喜末では、地域の人々がサツマイモ栽培や麦の復活、芋づるの塔づくりなどを通じて、かつての農村文化を次世代へ伝えようとしています。平成29年度に始まった「小豆島陽当たりの里伊喜末」の活動では、サツマイモの栽培や麦の作付け、農村文化体験などが行われています。

「つぼいけ」とは、ただ芋を保存する穴ではありません。 砂地で芋を育て、土の中で冬を越し、芋づるを牛に食べさせ、麦わらを再び芋の保存に使う。 そこには、伊喜末の土地と作物と人と家畜が結びついた、ひとつの小さな循環があります。 冬の伊喜末に現れる土の盛り上がりは、かつての農村の営みを地面の下に静かに残している。 それが、伊喜末の「つぼいけ」です。

参考資料・研究資料:

1.香川県教育委員会『香川県埋蔵文化財調査年報』
→伊喜末について、調査対象「いもの『つぼいけ』」、調査内容「分布調査」とする記録。「つぼいけ」が行政の文化財調査の対象。 香川県埋蔵文化財センター「刊行物のご案内」

2.農林水産省「『集落営農』による集落の再生を目指して」
→伊喜末について、かつてサツマイモと麦の大産地だったこと、農地面積の減少、「芋づるの塔」などの地域文化。

3.農林水産省「小豆島陽当たりの里伊喜末」
→サツマイモのつるを乾燥させ、牛の餌や堆肥にする「芋づるの塔」を「古くからの知恵」として紹介。現在の地域文化継承活動についても記録。

4.『香川県史 別編Ⅰ 資料編第14巻 民俗』(香川県、1990)
→小豆郡土庄町四海・北浦地区を対象とする民俗資料。伊喜末を含む地域の食習俗・農村生活。

5.『土庄町誌』(土庄町、1971)/『土庄町誌 続編』(土庄町、2008)
→伊喜末の農業・産業・生活史を年代的に追うための基礎資料

6.神野知恵「小豆島の民俗と伊勢大神楽」
→小豆島の民俗・農村文化、民俗学的研究。伊喜末を含む小豆島の生業・生活文化を、個別の農業技術だけでなく地域社会の文脈。

2016年12月撮影

南の国の食べ物であるサツマイモは寒さに弱く、秋に収穫した後、冷気に晒されると腐りやすくなってしまいます。土の中の温度と湿度が保存に適していて、砂地に埋めて年を越します。寝かすと芋の甘みがぐっと増し、比較的価格が高い時期に販売することができます。農家ごとにつぼいけの意匠が異なるのも面白い。農家の暮らしの知恵が、この地域の独特の文化をつくっています。

Sweet potatoes, a staple food in southern regions, are sensitive to the cold; once harvested in autumn, they are prone to rotting if exposed to cold air. As the temperature and humidity in the soil are ideal for storage, they are buried in sandy soil to see out the winter. Letting them rest in this way significantly enhances their sweetness, allowing them to be sold at a time when prices are relatively high. It is also interesting to note that the design of the storage pits varies from farm to farm. The wisdom of the farmers’ way of life has shaped the unique culture of this region.

小豆島土庄町伊喜末(いぎすえ)地区に伝わる独特のサツマイモ保存方法。小豆島、冬の風物詩のひとつ「つぼいけ」

芋づるの塔は、耕作用の牛にサツマイモの蔓を餌として与えるために乾燥させるのが目的で塔にしていたもの。いまは、この地域に農耕牛はおらず町役場の職員さんが昔の風習を伝える目的で作っているもので、クリスマスくらいまでライトアップされています。芋づるのクリスマスツリーって日本でここだけなんじゃないだろうか。

小豆島土庄町伊喜末(いぎすえ)地区に伝わる独特のサツマイモ保存方法。小豆島、冬の風物詩のひとつ「つぼいけ」

小豆島土庄町伊喜末(いぎすえ)地区に伝わる独特のサツマイモ保存方法。小豆島、冬の風物詩のひとつ「つぼいけ」

小豆島にある海辺のログハウス「グラン シャリオ」さんの記事でみつけたのでメモ。
小豆島土庄町伊喜末地区に古くから伝わる「つぼいけ」という独特なサツマイモの貯蔵庫。
伊喜末(いぎすえ)は甘くて美味しいサツマイモ、「四海(しかい)の芋」の産地として有名で、
年末に収穫されたサツマイモをこうして保存し、年明けから出荷するのだそう。


写真:サツマイモの収穫後は・・・・ – 自然を感じる:オリーブ探検隊


写真:瀬戸内海小豆島 海辺のログハウス グラン シャリオ

伊喜末八幡神社の馬場は砂地で水はけがよく通気性もいいため、
おいしく新鮮なまま貯蔵できるのだそうです。
そしてこちらが、芋づるの塔。昔は牛の飼料の保存用に多く見られたそうです。

サツマイモの収穫後は・・・・オリーブ探検隊

壺井栄の小説「二十四の瞳」でも出てくるように小豆島では昔からサツマイモが多く栽培されていました。昔より畑は減りましたが今でも良く栽培されています。
収穫されたサツマイモは出荷されたり家の納屋に貯蔵されますが、土庄町四海地区では昔ながらに土の中に保存している地域があります。


写真:小豆島最新情報 by アッキーの小豆島だより

残るは島で1軒のみ…昔ながらの保存法「いもつぼ」を伝えたい 香川・小豆島 | KSB瀬戸内海放送

香川県の小豆島の「冬の風物詩」、イモを保存する昔ながらの「いもつぼ」が今年も作られました。しかし今年は、少し寂しい状況のようです。香川県土庄町の伊喜末(いぎすえ)地区には、収穫したサツマイモを土に埋めて保存する「いもつぼ」という昔ながらの方法が伝わっています。この日は深さ70センチほどの穴に麦わらを敷き詰めて、収穫した約450キロのイモを入れました。わらと土で蓋をすることで寒さに弱いサツマイモを、冬の間も保存できるということです。 「いもつぼ」は、10年ほど前には20カ所以上ありましたが、年々減っていて今年は1カ所だけになりました。

(前田満照さん)「栽培農家が減った中で1軒だけになりましたので、いもつぼ等を次の世代に残すためにいろいろと頑張ってやっていきたい」

「いもつぼ」で保存したイモは2021年3月に掘り出され、種芋にしたり販売したりします。

小豆島の不思議のひとつ!瀬戸内海小豆島 海辺のログハウス グラン シャリオ

これ何かわかりますか?お墓ではありません小豆島の冬の風物詩のひとつ「つぼいけ」といいます。この盛り土の下にはなんとサツマイモが貯蔵されているんです。場所は土庄町伊喜末八幡神社の馬場の一角で収穫 したサツマイモを土の中に貯蔵する同地区独特の保存法です。人間の知恵とは古来より限りないものと感心させられます。

たくさんの笑顔たち:おいしさを貯蔵する小豆島に集まれ!
伊喜末八幡神社の馬場に、今年も出現した地中ハウス?!
ではなく、これは伊喜末地区の農家の皆さんが作ったサツマイモ貯蔵庫。名前を「つぼいけ」といいます。伊喜末のサツマイモは、昔から「四海の芋」と呼ばれ、ほっこり甘くておいしいことで有名。サツマイモの品質を落とさず、年越しさせる有効な貯蔵法として、このつぼいけは、古くからこの地区で続けられてきた伝統の貯蔵方法なんです。

水はけのよい砂地である伊喜末八幡神社の馬場は、つぼいけの最適地。深さ1mほどの穴を掘り、通気性、保温性に優れた麦わらを敷き詰めた中に、数百個のサツマイモを入れていきます。上を麦わらで覆い、最後に土を被せれば、サツマイモ貯蔵庫「つぼいけ」のできあがり。

作業はとっても大変だけど、「つぼいけ」は、サツマイモをおいしく長く貯蔵するために農家の皆さんが考えた、知恵と努力の結晶なのでした。

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参考:
サツマイモの収穫後は・・・・ – 自然を感じる:オリーブ探検隊
小豆島の不思議のひとつ! – 瀬戸内海小豆島 海辺のログハウス グラン シャリオ
芋づるの塔とつぼいけ: 小豆島最新情報
小豆島だより:サツマイモのつぼいけ
小豆島に集まれ!たくさんの笑顔たち:冬から春へ – livedoor Blog(ブログ)
小豆島に集まれ!たくさんの笑顔たち:おいしさを貯蔵する – livedoor Blog(ブログ)
小豆島に集まれ!たくさんの笑顔たち:四海の芋 – livedoor Blog(ブログ)

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  1. 小豆島土庄町伊喜末(いぎすえ)地区に伝わる独特のサツマイモ保存方法。小豆島、冬の風物詩のひとつ「つぼいけ」 http://t.co/7NDuK1d2 @yousakanaさんから

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