解体が予定されている「旧香川県立体育館(船の体育館)」の再生に向けて、民間団体が本格的に動き出しました。1964年に完成したこの建築は、世界的建築家・丹下健三の代表作のひとつで、その独創的なデザインから長年市民に親しまれてきました。老朽化や耐震基準の問題を理由に香川県が約10億円をかけて解体を予定する一方で、保存と活用を目指す「旧香川県立体育館再生委員会」が2025年7月23日、香川県高松市で記者会見を開きました。

A private organisation has begun full-scale efforts to revitalise the former Kagawa Prefectural Gymnasium (Boat Gymnasium), which is scheduled for demolition. Completed in 1964, this building is one of the representative works of world-renowned architect Kenzo Tange and has been loved by citizens for many years for its unique design. While Kagawa Prefecture plans to demolish the building at a cost of approximately 1 billion yen due to issues such as aging and seismic standards, the ‘Old Kagawa Prefectural Gymnasium Revitalisation Committee,’ which aims to preserve and utilise the building, held a press conference on 23 July 2025 in Takamatsu City, Kagawa Prefecture.

委員会は、土地と建物を県から有償で取得し、耐震改修とリノベーションを施した上でホテルなどの交流施設として再生する構想を発表。取得費用として約5億円、改修には30億〜60億円を見込んでおり、年間1億〜3億円の営業利益も想定されています。すでに複数の民間企業が出資に関心を示しており、県の予算を使わず民間資本のみで改修の資金調達のめどがたったため今回の発表となりました。

The Former Kagawa Prefectural Gymnasium Revitalisation Committee announced plans to acquire the land and building from the prefecture for a fee, carry out seismic retrofitting and renovation, and revitalise the site as a hotel and other exchange facilities. The acquisition cost is estimated at approximately 500 million yen, with renovation costs estimated at 3 to 6 billion yen, and annual operating profits of 100 to 300 million yen are also expected. Several private companies have already expressed interest in investing, and since funding for the renovations has been secured solely through private capital without using prefectural budget funds, the committee has made this announcement.

Tange, Kenzō (1913-2005). The Kenzo Tange Archive, Gift of Takako Tange, 2011. Kagawa Prefectural Gymnasium. Folder A048, Frances Loeb Library, Harvard University Graduate School of Design.
Harvard Mirador Viewer – Tange, Kenzō (1913-2005). The Kenzo Tange Archive, Gift of Takako Tange, 2011. Kagawa Prefectural Gymnasium. Folder A048, Frances Loeb Library, Harvard University Graduate School of Design.

旧香川県立体育館(船の体育館)の建築的価値は国内外で高く評価されており、ハーバード大学ニューヨーク近代美術館(MoMA)の所蔵資料にも収められるなど、国際的にも文化財としての価値が認められています。再生委員会の長田慶太委員長(建築家)は、「この建物を活かすことで、香川の新しい文化と経済のハブとなり得る。県には、私たちの提案を前向きに受け止めてほしい」と呼びかけました。現在、解体手続きの延長と買収に向けた協議の場を求め、県との調整が進められています。

The architectural value of the former Kagawa Prefectural Gymnasium (Ship Gymnasium) is highly regarded both domestically and internationally, and its cultural property value has been recognised internationally, with materials from Harvard University and the Museum of Modern Art (MoMA) in New York included in its collection. Keita Nagata, chair of the regeneration committee (architect), said, “By utilising this building, it could become a new cultural and economic hub for Kagawa. We hope the prefecture will consider our proposal positively.” Currently, negotiations are underway with the prefecture to extend the demolition process and discuss the acquisition of the building.

ちなみに、サポート企業のひとつ、株式会社 乃村工藝社は、大手ディスプレイデザイン会社。四国では、香川県宇多津町の『四国水族館』『徳島県立博物館』の常設展リニューアル、高知県足摺岬の『TheMana Village(ザマナヴィレッジ)』などを手掛けています。実は、この乃村工藝社は、香川県高松市発祥の会社。1892年(明治25年)乃村泰資(のむらたいすけ)さんが香川県高松市で菊人形の舞台装置の仕事を始めたのが会社の起源です。

Incidentally, one of the supporting companies, Nomura Co., Ltd., is a major display design company. In Shikoku, it has worked on the permanent exhibition renovations of the Shikoku Aquarium in Utazu Town, Kagawa Prefecture, and the Tokushima Prefectural Museum, as well as The Mana Village in Ashizuri Cape, Kochi Prefecture. Interestingly, Nomura Kōgeisha Co., Ltd. originated in Takamatsu City, Kagawa Prefecture. The company’s roots trace back to 1892 (Meiji 25), when Nomura Taishuke began working on stage sets for chrysanthemum dolls in Takamatsu City, Kagawa Prefecture.

旧香川県立体育館
通称:船の体育館
住所:香川県高松市福岡町2-18-19 [Google Maps]
意匠設計:丹下健三(1913~2005)
構造設計:岡本剛(1915~1994)
作庭:和泉正敏(1939〜2021)、山本忠司(1923〜1998)
家具:剣持勇(1912〜1971)
竣工:1964年8月10日
構造:鉄筋コンクリート造、高張力によるサスペンション構造
建築面積:1,519 m² 延床面積:4,707 m²

Former Kagawa Prefectural Gymnasium
Commonly known as: Ship Gymnasium
Address: 2-18-19 Fukuoka-cho, Takamatsu City, Kagawa Prefecture [Google Maps]
Design: Kenzo Tange (1913-2005)
Structural Design: Tsuyoshi Okamoto (1915-1994)
Landscaping: Masatoshi Izumi, Tadashi Yamamoto
Furniture: Isamu Kenmochi
Date : Aug. 10th 1964
Structure : Reinforced Concrete Construction, High-tension Suspended Structure
Area : 1,519 m² / Floor : 4,707 m²


旧香川県立体育館の買取等による保存及び利活用への正式表明に関する記者会見

参考:「旧香川県立体育館 再生委員会」プレスリリース資料

断面イメージ 案① ブックラウンジ併設ホテル案
案① ブックラウンジ併設ホテル案
観光客と県民を対象とした、宿泊・知・文化・建築を融合した複合施設
– 1,2階の低層部に、ライフスタイルホテル
– 3階以上の大空間に、本が敷き詰められたブックラウンジ・カフェ、アートスペースを整備
※)上記の内容は、今後の詳細検討により変更となる可能性があります。

Proposal 1: Hotel with attached book lounge
A complex facility combining accommodation, knowledge, culture, and architecture, targeting tourists and prefectural residents
– Lifestyle hotel on the first and second floors
– Book lounge café and art space filled with books in the large space on the third floor and above
*The above details are subject to change based on future discussions.

断面イメージ 案② 1棟ホテル案
案② 1棟ホテル案
主に、インバウンドを対象とした、1棟宿泊施設への転用案
新たに床を張り、屋上を開けることで、豊かな内部空間を創出し、余白部分に“ここならでは”の風景を演出
– 1階は、バックヤード、レストラン、ロビー
– 2階以上に複数の大きさの宿泊部屋 – 大きく建物中央部を開け、光庭を整備することで、新たな余白空間を創出
※)上記の内容は、今後の詳細検討により変更となる可能性があります。

Proposal 2: Single-building hotel proposal
A proposal to convert the building into a single-building accommodation facility mainly targeting inbound tourists.
By laying new flooring and opening up the rooftop, a rich interior space will be created, and the empty space will be used to create a unique view.
– First floor: Backyard, restaurant, lobby
– Second floor and above: Multiple-sized guest rooms – By opening up the central part of the building and creating a light court, new open spaces are created.
※) The above content may be subject to change based on future detailed discussions.


参考資料)海外機関からの保存・再生に関する声
◆ ハーバード大学院上級教員からの嘆願書
※香川県知事宛嘆願書を日本語訳文にて転載

「ハーバード大学デザイン大学院の上級教員たちは、私と共に本書簡の署名者として、香川県立体育館の解体・撤去というご決定の再考をお願い申し上げます。 当校のフランシス・ローブ図書館は、20世紀を代表する世界的建築家の一人である丹下健三の、長く輝かしいキャリアにおける重要な瞬間を捉えた図面、模型、その 他多くの貴重な資料を所蔵する「丹下健三アーカイブ」の保管施設としての栄誉を担っております。また、本校には「丹下健三記念講座」という教員ポジションが設け られており、これは丹下氏およびその友人・支援者の皆様から40年前に寄贈されたもので、最高水準の建築教育および研究を促進するためのものです。このような 背景のもと、私たち教職員には、丹下氏の卓越した遺産を守り広めていく特別な責任があると自負しております。 香川県立体育館が、東京の代々木屋内競技場(こちらも丹下氏の設計)と同じ1964年に完成したことは広く知られています。これらの作品は、いずれも現代建築の 傑作として世界中の建築家に研究され、評価されています。丹下氏自身がそうであったように、これら二つの建築は対比的に捉えられるべきです。代々木において は、丹下氏は構造設計を坪井善勝氏と共に行い、香川においては岡本剛氏と協働しました。これら二つのプロジェクトに異なる構造技術者を起用したことは、丹下氏 が社会的スケールの大空間を実現するために、異なる構造設計の戦略を追求していたことを物語っています。 これらの建築群は、日本が20世紀後半に民主的で豊かな国へと劇的に変貌を遂げたことを象徴する重要な文化資産です。代々木競技場は2021年に日本政府よ り重要文化財に指定され、現在はユネスコ世界遺産登録候補として推薦されていますが、同年に建てられた香川県立体育館もまた、同様の注目と保存の努力に値す ると考えます。 香川県は近年、美術と建築の愛好家や学生にとって世界有数の目的地として浮上してきました。60年以上前、金子正則知事は、猪熊弦一郎、長谷川松之助、イサム・ ノグチ、そしてもちろん丹下健三のような芸術家や建築家との深い関係を築く上で重要な役割を果たしました。こうした重要な協力関係は、近年、直島や豊島をはじ めとする瀬戸内海地域の各地での驚くべき変革によって引き続き発展し、これらの地域は世界的に見ても20世紀後半から21世紀にかけての最も革新的な建築を 代表するものとして広く知られています。香川県立体育館を失うことは、この素晴らしいコレクションの重要な一部を失うことになり、それは香川の文化的アイデン ティティと経済の基盤において欠かせないものです。 私たちは、SANAAによって設計された美しい新体育館の開館を祝福いたします。なお、妹島和世氏は2000年春に私たちの学校で丹下健三記念講座を務め、その 後もさまざまな形で関わり続けています。日本の建築家との長年にわたる関係を維持できることを誇りに思います。そして、香川県立体育館の改修および適応的再 利用の新たな可能性をぜひ再考していただきたいと強く願っています。この建物は非常に価値があり、貴県の政府と市民が60年以上前に行った投資を称えるにふ さわしいものです。」

SARAH M. WHITING
Dean and Josep Lluís Sert Professor of Architecture 他23名のハーバード大学院教員による連名


参考資料)海外機関からの保存・再生に関する声

◆ ニューヨーク近代美術館(MOMA)、イリノイ大学からの嘆願書
※香川県知事宛嘆願書を日本語訳文にて転載

ニューヨーク 近代美術館 (MOMA)
– 2021年には代々木競技場が日本政府により重要文化財に指定され、現在はユネスコの世界遺産登録も検討されている
– 代々木と同時期・同時代に建てられた香川県立体育館も、同様の評価と保護を受けるに値するもの
– 戦後日本の民主主義社会の価値観を体現するような、大規模な公共空間の創出というビジョンを果敢な構造設計によって実現しようとした
– この建築の歴史的・建築的価値に対する私の確信をいっそう強めた
– 私たちのグループ全体が、この建築の非凡な完成度に対して深い敬意と感動を抱いたことを共有している
– 猪熊弦一郎、流政之、イサム・ノグチ、そしてもちろん丹下健三といった芸術家・建築家との深い関わりを持つ香川の歴史を考えれば、香川県立体育館を失うことは、香川が築いてきた卓越した文化的遺産、ひいてはそのアイデンティティと経済的原動力を大きく損なうことになる
– この過程において必要とされるあらゆる支援を、世界の建築コミュニティは喜んで提供する

Dr. Martino Stierli The Philip Johnson Chief Curator of Architecture and Design

イリノイ大学
– もしこの建物が解体されることになれば、それは日本のみならず、世界の建築界にとっても非常に大きな損失となる
– 丹下健三の傑作を未来の建築家たちへのインスピレーションとして、また国際社会全体の文化的財産として、ぜひ保存することが望まれる
– 香川県立体育館の解体決定が、今からでも再考されることを願っている
Botond Bognar Professor and Edgar A. Tafel Endowed Chair in Architecture University Scholar Laureate, Architectural Institute of Japan Special Prize

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写真:旧香川県立体育館 再生委員会プレスリリース資料より

2021/09/10撮影


高松新浜塩田。1866年(慶応2年)武藤六兵衛が、ハ丁どての北側の海を埋め立てて入浜式塩田とした。 沖松島の古浜塩田に対して「新浜」とよばれました。総面積は、19.5ヘクタールで、大正末期には塩を焚く釜屋が9軒あった。当時は年間約2,300トンの塩がつくられたといわれます。昭和の時代になって、西の方から順次塩田の一部が埋め立てられて、工場敷地や競輪場になった。塩田周辺が次第に工業地・住宅地化されるにしたがって、周りの環境から製塩に適さなくなり1959年(昭和34年)5月廃止されました。1994年(平成6年)2月 松島校区地域おこし事業推進委員会

Takamatsu Shinhama Salt Fields. In 1866 (Keio 2), Mutou Rokubei reclaimed the sea north of Hadote and turned it into an inlet-type salt field. It was called ‘Shinham’ in contrast to the Koshimatsu Island Kobama Salt Field. The total area was 19.5 hectares, and by the end of the Taisho era, there were nine salt-boiling kilns. It is said that approximately 2,300 tons of salt were produced annually at that time. In the Showa era, parts of the salt field were gradually reclaimed from the west, becoming factory sites and a bicycle racing track. As the area around the salt field gradually became industrialised and residential, it became unsuitable for salt production due to changes in the surrounding environment, and it was abolished in May 1959 (Showa 34). February 1994 (Heisei 6) Matsushima District Regional Revitalisation Project Promotion Committee


ワッフルスラブ。旧香川県立体育館のワッフルスラブは、建築家・丹下健三が設計した格子状の床構造で、観客席を支える重要な要素です。荷重を効率よく分散し、高い剛性を実現するこの構造は、当時コンピューターがない中で63個の未知数を含む方程式を手計算で解いて安全性を検証する(構造計算書に「63元連立一次方程式を立てる」という説明があります)など、技術と情熱が注がれた名建築として評価されています。

意匠設計:丹下健三さん(1913~2005)
構造設計:岡本剛さん(1915~1994)

旧香川県立体育館の買取等による保存及び利活用への正式表明に関する記者会見
登壇者
長田 慶太 長田慶太建築要素 代表
(旧香川県立体育館再生委員会 委員長)
上杉 昌史 経営戦略コンサルタント
(旧香川県立体育館再生委員会 副委員長)
青木 茂  建築家
(旧香川県立体育館再生委員会 理事)

内 容
1.旧香川県立体育館の取得を目指した正式表明に関するご報告
2.今後の事業コンセプトおよび活用計画のご説明
3.他各種団体や機関の動きや今後の連動の可能性について
4.質疑応答

会見で使用した資料は下記のURLからダウンロードできます。
https://drive.google.com/drive/folders/1YrpuV4stVqs3GxhpgWfsIuV1SZI9Pkq5

■ 委員会名称
【 旧香川県立体育館 再生委員会 】

■ 目的
旧香川県立体育館の文化的・建築的価値を尊重し、 解体に代わる買取・定期借地等によって保存・利活用の実現を目指す。

■ 委員会構成 (令和7年7月18日…現在で公表可能な名称を記載)
委員長 長田慶太(長田慶太建築要素・代表)
 香川県生まれ /高松第一高等学校卒業/成蹊大学 法学部政治学科 卒業 高松市都市景観賞受賞 2th /日本空間デザイン賞(現)受賞6th [silver award] 2013 [BEST100] 2017 / GOOD DESIGN賞3th [BEST100] 2016 / 環境設備デザイン賞BE.2016 /日本建築学会作品選奨2017 / Japan-ness.ポンピドゥーセンター・メッス出展2017 / 香川県文化芸術選奨 2021 (他
副委員長 上杉昌史(経営戦略コンサルタント)
 神奈川県生まれ /東京理科大学工学部建築学科卒業、東京大学大学院建築学専攻修了 日建設計にて都市計画業務に従事後、外資系戦略コンサルティングファームにて都市開発・不動産、観光・文化政策等のコンサ ルティング業務に数多く従事。政府系金融機関への出向経験もあり、建築・都市・不動産・経営を横断的に繋ぐ業務を得意とする。 日建設計在籍時に携わった主なプロジェクトは、渋谷フクラス、京橋ミュージアムタワーなど
理事 青木 茂(建築家)
 大分県生まれ /近畿大学九州工学部建築学科卒業/ 大連理工大学 .日本文理大学.前橋工科大学 客員教授/2001年度日本建築学会賞 業績賞/第7回これからの建築士賞/ 第 31回BELCA賞ベストリフォーム部門/第54回中部建築賞入選/GOOD DESIGN賞 特別賞・エコロジーデザイン賞(他 著書に「リファイニング建築が社会を変える」「建築再生 未来へつなぐリファイニング建築」(他

支援 森 俊子(ハーバード大学大学院教授)
支援 後藤 治(文化庁,建築文化ワーキンググループ臨時委員)

●サポート企業・団体(現在で公表可能な名称のみ記載)
株式会社 乃村工藝社
株式会社 青木茂建築工房
株式会社 Staple
株式会社 水星   …等々

●地元サポート
長田慶太建築要素
オクタント建築都市研究所
SPELL DESIGN WORKS
物語を届けるしごと
株式会社tao. 「IKUNAS:まちなか編集室」
株式会社 樹工舎

旧香川県立体育館の買取等による保存及び利活用への正式表明に関する記者会見
• 主 催: 旧香川県立体育館再生委員会
• 日 時: 2025年7月23日(水)11時00分~12時00分(受付開始:10時30分)
• 場 所: ホテルパールガーデン新館 6Fインペリアル (香川県高松市福岡町2丁目2-1)
• 内 容:
1. 旧香川県立体育館の取得を目指した正式表明に関するご報告
2. 今後の事業コンセプトおよび活用計画のご説明
3. 文化芸術・教育機関から寄せられた旧県立体育館の保存嘆願書の公開
4. 質疑応答

メディアの方々へのお願い
今回の提案内容については、これまで香川県並びに教育委員会の方々が慎重に検討してきた内容を否定するものではございません。閉館から10年を超える期間の中で多くの議論が重ねられ、その結果として解体という決定に至ったことを私たちも理解しております。再生の道が開かれた際には、香川県とともに、県民や社会にとって価値ある遺産を後世に残すことを目指して取り組んでいきたいと強く願っております。この点について、深いご理解を賜りますようお願い申し上げ、ご配慮いただけますと幸いです。

【協力】 JCD 四国支部JIA 四国支部香川県建築士 の有志の方々

旧香川県立体育館 民間買い取りで再生する提案を発表 解体費は約10億円「税金の使い道の議論も」 | KSB瀬戸内海放送

香川県が解体を決めた旧県立体育館の保存と活用を目指す団体が民間による買い取りで「観光交流拠点」への再生を目指す提案を発表しました。再生委員会は県から建物と敷地を買い取るか借りるなどして旧体育館をブックラウンジを併設したホテルにする案などを提示しました。

耐震改修や用途変更に伴う初期投資を30億から60億円と見込んでいて、参画を検討する企業や複数のファンドから資金調達のめどは立っているとしています。また、建築文化の継承に向け、「再生」を目指す建物への経済的支援に動き出している文化庁にも働き掛ける意向です。

旧香川県立体育館「民間で買い取り再生」案(2025年7月23日掲載)|RNC NEWS NNN

建築家などでつくる団体「旧香川県立体育館再生委員会」が、今日、高松市で会見し、県から土地と建物を買い取り耐震改修をしてホテルとして利活用する案を明らかにしました。ホテルなどとして利活用した場合施設の規模によって、年間1億円以上の営業利益が見込めるとし、既に複数の不動産ファンドが関心を示しているとしています。再生委員会は今月18日に県に対し、再生に向けて協議してほしいと求めたということです。

池田知事は、昨日(22日)の定例会見で、およそ10億円の予算を計上し、来月(8月)にも工事の入札を始める予定です。再生委員会は今月中にも県民などを対象に、解体か再生かを問うアンケートを行い、県に引き続き協議を求める方針です。

解体予定の旧香川県立体育館、民間団体が買い取り提案 宿泊施設に – 日本経済新聞

会見したのは建築関係企業らが支援する「旧香川県立体育館再生委員会」。計画では複数の事業者が参画してホテルへの転用を目指す。耐震化や改修工事などにかかる初期投資は30億〜60億円とし、事業収益などの経済効果は年間5億円程度と算出した。

長田慶太委員長は「旧香川県立体育館には建築の世界的価値、地域の文化遺産としての役割を担う余力はある。責任をもって買い取り・修繕・改修できると確信している」と話した。

丹下健三設計の「船の体育館」 民間団体が買い取り・再生案|NHK 香川県のニュース

老朽化などの理由で解体が予定されている「旧香川県立体育館」について、建物の継承を目指す民間の団体が23日、高松市で記者会見を開き、土地と建物を県から有償で取得したうえで、ホテルとして再生する案を明らかにしました。高松市の「旧県立体育館」は世界的な建築家、丹下健三が設計し、特徴のある形状から「船の体育館」として長年親しまれてきましたが、県は老朽化や耐震性などを理由におよそ10億円をかけて解体する計画です。これについて、建物の継承を目指している民間の団体「旧香川県立体育館再生委員会」が23日、記者会見を開き、県から有償で土地と建物を取得し、耐震改修を施したうえで、ホテルなどとして再生を目指す素案を明らかにしました。それによりますと、土地や建物の取得に5億円程度、耐震工事や施設の改修に30億円から60億円程度が必要だと見込んでいます。一方で、ホテルなどとして再利用した場合、施設の規模によって年間1億円から3億円程度の営業利益が見込めると試算していて、すでに複数の不動産ファンドが出資に関心を示しているとしています。団体は今月18日、県に対し、建物の解体に伴う手続きを延長したうえで、買い取りに向けた協議の場を設けることを要請したということです。高松市の建築家でこの団体の長田慶太委員長は「建物を交流施設とし、多くの方が訪れることで経済効果も生まれる。県にはわれわれの提案を前向きに考えてもらいたい」と話していました。

速報:丹下健三の旧体育館は民間で買い取り「ホテルに」と提案、「香川県は費用をかけずに保存が可能」とした事業スキームを見る | BUNGA NET

香川県が約10億円かけて解体することを決めている旧香川県立体育館(1964年竣工、設計:丹下健三+都市建築設計研究所、集団制作建築事務所)に対し、民間団体の「旧香川県立体育館再生委員会」が7月18日、買い取りなどによる保存と利活用について協議を始めるよう県教育委員会に申し入れた。「県は費用をかけずに保存可能」としている。その提案内容や今後の計画について説明する記者会見が7月23日午前11時から高松市のホテル、パールガーデン新館で行われた。

県が解体決めている “船の体育館” 建築家らでつくる団体が「建物と土地を購入し宿泊施設として活用する」提案【香川】 | RSK山陽放送

老朽化を理由に香川県が解体を決めている旧県立体育館に新たな動きです。文化的価値が高いとして保存を目指す団体が、建物と土地を購入し、宿泊施設に活用したい意向を表明しました。 (旧香川県立体育館再生委員会 長田慶太委員長) 「日本の歴史としてつないでいく意味が、建物を残すこと自体に存在すると考えています」

公益財団法人 乃村文化財団

香川県高松出身の乃村泰資たいすけ(1873-1948)は、足袋職人から舞台の道具方に転じ、さらに伝統的な菊人形興行に新たな演出を加えた「段返し」※を考案しました。 泰資の人びとに“歓びと感動”を届けたいという思いは、大衆娯楽のダイナミックな空間演出技法を生み出す源となり、現代における空間プロデューサーとして、またこれを生業とする乃村工藝社の創業者として活躍します。 その後、展示装飾・演出技術は、時代とともに進化し発展を遂げ、「ディスプレイ業」と呼ばれるひとつの産業として確立されました。

※ 段返し 物語の進展に応じて奈落からのせり上げや天井からの吊り下げ、 舞台袖の書割を駆使して幕間なく一瞬のうちに場面転換する仕組み。

沿革 | 株式会社乃村工藝社 / NOMURA Co.,Ltd.

1892(明治25)年:創業

大正年間:創業者乃村泰資は、当時大衆の娯楽として人気のあった菊人形を、大規模な装置と仕掛けを使って演出

昭和年間:博覧会の展示、そして百貨店の催しを手がける。全国産業博覧会(高松博)「史伝名勝 讃岐館」1928年(昭和3)