香川県では、地域の気候に適したたまねぎの栽培が盛んで、その多くが県内で採種された種子を使用しています。昭和30年代に麦の代作として導入されて以降、生産は拡大し、最盛期には1,000ha以上の作付面積を誇りました。現在は高齢化の影響で縮小傾向にあるものの、観音寺市や三豊市などを中心に栽培が続いています。

たまねぎは、早生から晩生まで様々な品種が栽培され、サラダや煮物など幅広い料理に使われる身近な野菜です。特に香川県産の「みがきたまねぎ」は品質の高さで全国的に評価されており、出荷は5~7月が中心ですが、冷蔵保存により冬場も市場に出回っています。

この香川県のたまねぎ産業を支えるのが、三豊市に本社を構える「株式会社七宝」です。戦後すぐに始まった品種改良の取り組みが原点で、農家主体の採種組合から発展した同社は、現在、国内たまねぎ種子の約75%の販売シェアを持つ業界トップ企業です。現社長の岩田豊志氏は、農家出身で研究者としても活躍し、病気に強く貯蔵性の高い品種を北海道などで開発しています。

近年では、種苗産業に多国籍企業の参入が進み、短期的利益を求めた動きもありますが、地域ごとの適応性が求められるたまねぎの種子開発は、長期的視点が不可欠な分野です。香川県のたまねぎ種子産業は、こうした背景の中で、地道な研究と地域密着型の農業によって成り立っているのです。

Kagawa Prefecture is known for its thriving onion cultivation, which is well-suited to the local climate. Most of the onions grown here use seeds that were originally cultivated within the prefecture. Introduced in the 1950s as an alternative crop to wheat, onion production expanded significantly, reaching a peak of over 1,000 hectares of cultivated land. Although production has been declining due to the aging population, cultivation continues in areas such as Kanonji City and Mitoyo City.

Onions are cultivated in a variety of varieties, from early to late maturing, and are a common vegetable used in a wide range of dishes, including salads and stews. In particular, Kagawa Prefecture’s ‘Migi Onion’ is nationally recognised for its high quality, with shipments peaking from May to July, though refrigerated storage allows them to be available in the market even during the winter.

Supporting Kagawa Prefecture’s onion industry is Shippo Co., Ltd., headquartered in Mitoyo City. The company’s origins trace back to post-war efforts in variety improvement, evolving from a farmer-led seed cooperative. Today, it is the industry leader, holding approximately 75% of the domestic onion seed market share. Current President Toyoshi Iwata, a farmer-turned-researcher, has developed disease-resistant and high-storage-capacity varieties in regions like Hokkaido.

In recent years, multinational corporations have increasingly entered the seed industry, driven by short-term profit motives. However, onion seed development, which requires regional adaptability, is a field that demands a long-term perspective. Kagawa Prefecture’s onion seed industry is sustained by steady research and locally rooted agriculture, operating within this context.

2020/06/26撮影

香川県内。特に西讃地域でよくみるネギ坊主が広がる風景。

収穫したたまねぎを干す風景。
A scene of drying harvested onions.

2015/04/28

香川県丸亀市。キトクラス

2018/06/28

徳島県、佐那河内村(さなごうちそん)

2020/02/20

瀬戸内海、粟島(あわしま)。

2018/06/02

香川県高松市。すする

2017/09/27

瀬戸内海、豊島(てしま)、唐櫃(からと)地区

2016/06/03

瀬戸内海、小豆島(しょうどしま)、肥土山(ひとやま)地域にて

2016/05/07

瀬戸内海、豊島(てしま)にて

たまねぎ | LOVEさぬきさん – 香川県

収穫は4月~6月にかけて行われ、サラダ用の早生品種も、乾燥冷蔵保存して長期間出荷する晩生の品種もあります。乾燥させた後布できれいに掃除したものは「みがきたまねぎ」と呼ばれ、品質の高さで評価を受けています。香川県で栽培されている多くのたまねぎは、地元の気候風土に合うよう香川県で生産された種子を使って栽培しています。

野菜:たまねぎ | JA香川県 – 香川県農業協同組合

麦の代作として昭和30年代に導入され、栽培面積が急速に伸び、50年には1,190haに達しました。その後、栽培者の高齢化により栽培面積が減少しています。主な産地は、観音寺市、三豊市、善通寺市、丸亀市等です。本県のたまねぎは「みがきたまねぎ」として全国でも高い評価を受け、5~7月の占有率は約1割を占め、11~3月にも「冷蔵たまねぎ」として数多くの市場に出回っています。主要品種は七宝早生7号、アンサー、もみじ3号など早生から晩生まで地域に合った作型で栽培しています。

たまねぎはユリ科の2年生植物ですが、条件により1年目に早期抽苔を起こすことがあります。原産地はインド、中央アジア等といわれ、わが国への導入は、明治4年北海道で試作されたのが最初で、大阪では明治18年に初めて栽培に成功しました。北海道では、イエローフローブダンバースが札幌黄となり、大阪では、イエローダンバースが泉州黄となって普及しました。

農家と研究者の目線でタマネギ新品種開発!|ビジネス香川

(株)七宝は農家が農家のために作った、タマネギの品種改良とタネの専門会社だ。農家が生産したタマネギのタネを、会社が買って全国に売る。終戦直後からタマネギの品種改良に取り組んだ、創業者(現会長)の岩田次夫さんが作った研究グループが、20戸の農家の「七宝玉葱採種組合」になった。その組合員が株式会社を設立して、日本のタマネギの品種改良を支えて来た。幼い頃からタマネギ畑で育った息子で2代目社長の岩田豊志さんは、農家と研究者の二つの目を持つ経営者だ。ゼロから北海道でタマネギの育種に取り組み、大手企業や国立研究所と競争して、病気に強い貯蔵性に優れた品種を開発、タマネギ種子の販売シェアー75%を誇る日本一の会社になった。

農家の感性で新品種を
温度と日長時間に敏感なタマネギは、外国品種のタネをまいてもうまく育たない。そのうえ品種改良に十数年かかる野菜だ。1970年代前半、北海道のタマネギに乾腐病が大発生した。その病気に抵抗性のある品種は、大手の種苗会社や国立の北海道農業試験場が入手していた。米国ウィスコンシン大学のガーベルマン教授が開発したタネだ。北海道で新品種開発に取り組んでいた豊志さんは、北海道の在来品種とガーベルマン教授の系統を交配して、幼苗検定法を改良することで先行の競争相手より早く、病気に強く貯蔵性に優れた画期的な品種を開発して、2004年農林水産大臣賞を受賞した。「同じ植物を見てもそれをどう感じるか。これは農家の感性ではないでしょうか。生まれて50数年タマネギの中で過ごしていますから、ひらめいて頭のなかがくるくる回ります」。2、3歳の豊志さんがタマネギ畑で羊羹をかじっている写真が残っている。