日本最古、国宝の社殿が、古くから『神谷(かんだに)』と呼ばれていた香川県坂出市の渓谷に静かに鎮座しています。この神谷神社(かんだにじんじゃ)の本殿は、建てられた年代が明らかな神社建築としては日本最古、国宝に指定されています。鎌倉時代初期の1219年(建保7年)に荘官の刑部正長(おさかべ)により再建された『三間社流造り(さんげんしゃながれづくり)』です。三間社流造りは、神社建築の様式で最も一般的な『流造(ながれづくり)』のうち、正面の柱が4本、柱間の間口が3間あるもの。
812年(弘仁3年)、香川県坂出市神谷町にて創建された神社。空海の叔父にあたる阿刀大足(あとのおおたり)が社殿を造営し、相殿(あいどの)に春日四神(武甕槌命(たけみかづちのみこと)、経津主命(ふつぬしのみこと)、天児屋根命(あめのこやねのみこと)、比売神(ひめがみ)の四柱)を勧進(かんじん)したとされています。905年(延喜5年)成立の『延喜式(えんぎしき)』神名帳(じんみょうちょう)には、讃岐国(さぬきのくに)阿野郡(あやぐん)に「神谷神社」と記載され式内社となっています。
Japan’s oldest national treasure shrine stands quietly in a valley in Sakaide City, Kagawa Prefecture, which has been called ‘Kandani’ since ancient times. The main hall of Kandani Shrine is designated as a national treasure as the oldest shrine building in Japan with a clear date of construction. It was rebuilt in 1219 (Kenpo 7) during the early Kamakura period by Osakabe, the head of the shrine, and is an example of the ‘Sangen-sha Nagare-zukuri’ style. The Sangen-sha Nagare-zukuri style is a type of Nagare-zukuri, the most common style of shrine architecture, characterised by four columns at the front and a width of three bays between the columns.
神谷神社(かんだにじんじゃ)
住所:香川県坂出市神谷町621 [Google Map]
指定:神谷神社本殿 重要文化財(1904年08月29日)、国宝(1955年02月02日)
Kandani shrine
Address : 621 Kandani town, Sakaide city, Kagawa pref., Japan [Google Map]
Designation: Kandani Shrine Main Hall, Important Cultural Property (29 August 1904), National Treasure (2 February 1955)
2025/07/31撮影
避雷針
2022年10月撮影
阿
吽
国宝神谷神社。防災施設整備事業。
2021年1月撮影
親子獅子
残念石
看板
菜の花
神谷神社(かんだにじんじゃ)
住所:香川県坂出市神谷町621 [Google Map]
Kandani shrine
Address : 621 Kandani town, Sakaide city, Kagawa pref., Japan [Google Map]
神谷神社本殿 一棟
神谷神社は弘仁三年(八一二)空海の叔父阿刀大足の勧請または再興と伝えているが、詳しいことは分からない。しかし延喜式にも記されている古社である。本殿は化粧棟木下端の墨書により、建保七年(一二一九)の建立になることが明らかであり、以後天文九年(一五四〇)、永禄十一年(一五六八)、万治三年(一六六〇)、宝暦九年(一七五九)に修理のあったことが棟札によって知られる。
三間社流造で、身舎は円柱、舟肘木、妻飾扠首組で正面中央間を板扉とするほか、左側側面にも扉構をつけて出入口にしている。向拝は方柱、三斗組で、すべて面取りとなっている。現存三間社流造としては最古の例であり、材料の保存もよい。【引用文献】
『国宝辞典(四)』(便利堂 二〇一九年)
国宝 神谷神社本殿
神谷神社本殿は三間社流造りの神社として昭和30年に国宝として指定されて現在に至って県内でも数少ない国宝建造物であります。 三間社流造りの本殿は,檜皮葺の屋蓋・ヤリガンナ仕上げの丸柱・面とりの向拝の角柱などに鎌倉時代の建築様式がよく表現されており,この時代の建築としては,我が国最古といわれております。
大正時代に本殿の修理が行われて何枚かの棟札が見つかりましたが,その1つに建保7年に本殿を再建したことが記された墨書銘がありました。
このように神谷神社本殿は,鎌倉時代に再建され当時の建築様式を残してきている訳ですが,その名称は更に古い平安時代の「三代実録」や「延喜式神名帳」とった文献にも見い出すことができます。神谷神社所有の宝物
神谷神社には,本殿以外にも重要文化財や市指定文化財を所有されており,なかでも重要文化財・木造随身立像二体は,全国的にも珍しい立像で,非常に希少性の高い像といえます。
このほか写経大般若経・法楽連歌・舞楽面・木造狛犬・神号扁額・棟札などの宝物を所有されており,神社の周辺には多層塔・残念石・経塔など中世を中心とした史跡が数多く残されています。舞楽面
坂出市の指定文化財の中には,奇妙な表情をした幾つかの仮面があります。 現在,青海神社宮氏宅と神谷神社に所蔵されていますが全部で9面が確認されており,それぞれ県・市指定工芸品となっています。
さて,これらの面は舞楽面と呼ばれていますが,舞楽とは,奈良・平安時代から中世にかけて大陸から伝わった舞踊の1つで貴族の支持を受けて寺院・神社・宮廷の祭礼の祭に上演された音楽舞踊で,古代末ごろから地方へと波及して,地方の古社寺でも上演された踊りです。
ところで,青海神社宮氏所蔵の舞楽面2面は,二ノ舞の面の尉と嫗で,県指定となっています。 尉は三日月形の目をして口を開いて笑っており,嫗は腫れあがった顔で舌を突き出している表情をしています。 二ノ舞は尉と嫗が案摩の舞をまねて舞おうとするのですが,うまく舞えないといったしぐさの舞で,奇妙な表情で滑稽な演技となるため,舞台に喜劇的な雰囲気を醸し出す舞踊であります。 このほか,蘭陵王,散手面などの舞楽面も保存されています。 尚,二ノ舞面は現在「県立博物館建設準備室所蔵」となっております。
一方,神谷神社に残る2面は抜頭面と還城楽面ですが,抜頭面は,父親をかみ殺した猛獣と格闘し,勝利して喜ぶ様を演じた舞であるとか,逆に虎に殺された父親の屍を見つけて,嘆き苦しむ舞に使用するといわれています。 また,還城楽面は,舞台のうえに小さな蛇を置き,その回りを舞いながら踊る舞踊の祭に使用するといわれています。
残念ながら舞踊そのものは失われてしまっていますが,このような舞楽面から,綾北の古社寺では,古代から中世にかけて,絢爛な舞楽が催されていたことが想像できます。
神谷神社(かんだにじんじゃ)は、香川県坂出市にある神社。式内社で、旧社格は郷社。
坂出市東部、五色台の一峰・白峰山の麓に鎮座する。「神谷」と呼ばれる谷間に位置し、境内の北方を神谷川が流れる。本殿は造営年代が明らかな流造社殿の中では最古のもので[1]、国宝に指定されている。国宝の社殿を持つ神社ではあるが、境内は比較的小さい。そのほか、重要文化財の木造随身立像などの神宝を現在に伝えている。
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