日本の伝統工芸である漆芸(しつげい)の世界で
とても画期的なことに挑戦しているご夫婦が香川県善通寺市にいらっしゃいます。
現在、日本国内で使用される漆の98%以上は輸入で、
香川県内の漆の生産は江戸時代で途絶えてしまっていると聞いていました。
そんななか、9年前に植えた漆の木から漆を採取したというニュースを目にして、
せとうち暮らしでお世話になっている児島さんに聞いたところ、
国産漆を自ら植え、山にはいって漆掻きをしながら漆器づくりをされている
ご夫婦がいらっしゃるという情報を耳にしたのでメモしておきます。
「和うるし工房あい」の漆芸家、松本和明さんと宮崎佐和子さん。
28日(火)まで高島屋京都で展示会をしているそうです。
その他の巡回展は下記の通り。
日程:2012年8月22日(水)~28日(火)
場所:京都 高島屋京都店 6階特選工芸ギャラリー日程:2012年9月5日(水)~16日(日)
場所:京都 酒の器Toyoda(京都市)木のうつわ漆のうつわ日程:2012年9月13日(木)~9月19日(水)
場所:広島 福屋 八丁堀本店7階美術画廊日程:2012年9月26日(水)~10月2日(火)
場所:大阪 高島屋大阪店 6階 特選和食器売場(特選ギャラリー)日程:2012年10月24日(水)~30日(火)
場所:名古屋 JR東海高島屋 9階「暮らしの手技」ギャラリー日程:2012年11月14日(水)~20日(火)
場所:大阪 阪神百貨店 梅田本店9階美術工芸サロン日程:2012年11月28日(水)~12月4日(火)
場所:神奈川 高島屋横浜店 7階 特選漆器売場
工房のコンセプト – この葉だより
和うるし工房あいでは、器の作品は素地となる“木”と100%“日本産漆”で作られています。漆工芸の世界をよく知らない私たちとっては一見何でもないことのようですが、これはそうとう画期的なことなのです。
一般の作家さんや業者さんのように下地に中国産を使っていたり、ブレンドしていたり、ましてや化学塗料も使っているなどということは一切ありません。(同業者の方々は“日本産漆だけで物づくりができるなんて、そんなこと現実にありえない”となかなか信用してくれないそうです)また、工房では灯油やテレピン油といった石油系の有機溶剤も全くうるしに混ぜず、木からにじみ出たきれいな樹液をナチュラルなままで使っているそうです。最初にそのことを聞いたわたしは「えっ、普通の漆器ってそんなものを混ぜて塗っていたの!?」とびっくりしてしまいました。
買った納豆のパッケージに「遺伝子組替え大豆は使ってません」という表記を見つけて「じゃあ今まで知らずに食べてたのか」と衝撃を受ける感じにちょっと近かったかもしれません。漆工芸では作業性アップやコストダウン(漆を薄めて増量)のため、有機溶剤を混ぜることが制作工程に組み込まれ、それがすっかり定着してしまっているそうです。それを聞いてわたしは、漆器はツーンとした嫌な匂いがするもの…というイメージがあったことを、ふと思い出しました。
保存状態のよくないまま輸入される腐敗した中国産うるし、漆工芸の作業でどんどん混入される有機溶剤。あの漆器の不自然な匂いは、やっぱりそれらと関係があるのかもしれませんね。歴史に消えた和うるし・中国産うるしのヒミツ
「きれいなうるし樹液は、そんなおかしな匂いはしないんですよ。うるしによって違うけど、無臭に近かったり、かすかな木の香りや、フルーツのようなちょっと甘ずっぱい香りがしたりするんです」と宮崎佐和子さん。
そして「木から流れ出た樹液は、そのままでバランスが取れている。採れる時期や採り方、保存状態によって乾く速度や表情が違うが、それぞれのうるしの個性を活かした仕事に使えばいいんですよ」と、松本和明さんはこともなげににこやかに話します。しかし、それは誰にでも容易にできることとは思えません。
市場に出まわる、加工され“飼い馴らされた漆”なら画材のように安定しているし、マニュアルがあればわたしでも使えるかもしれない。でも、ワインのように大地から生まれ、徐々に熟成を深めていく生の和うるしを使いこなすとなると、うるしの特性を見極める鋭い感性と経験がなければ難しいはずです。「うるしの木は本当に不思議な木です。私たちに樹液を出してくれるための木に神様が作ったしか思えないんです。木があって、樹液を採る人がいて、それを使う人がいる。本当に日本の宝ものだと思いますよ」としみじみ話す2人に、あらためて並々ならぬ漆への思い入れを強く感じました。
香川県漆器工業協同組合(松田等理事長)は12日、香川県まんのう町新目の県森林センターで、9年前に植樹したウルシから初めて漆を採取する作業を行った。香川の伝統工芸の漆器を県産の漆で制作し、全国に発信しようという取り組み。10月までに約5キロの漆を採取して漆器作品に使うことにしており、本格生産への足掛かりにする。
同組合によると、国内の漆器に使われる漆は、安価な中国産など外国産が9割超を占める。国産の漆の産地は岩手県など一部にとどまり、県内での漆の生産は江戸時代以降、途絶えているという。漆器産業が低迷する中、製品に付加価値を付けようと、同組合は県と共同で2003年3月に同センター内にウルシの苗木約50本を植えた。
岩手では植樹から漆の採取までに15~25年かかるが、県内は温暖な気候のため、植樹後9年で採取にこぎ着けた。この日は同組合のメンバーら約30人が参加し、高さ6メートルのウルシの木々の表面を専用の鎌やカンナを使って削り、樹液を取り出す「漆掻(か)き」の作業を漆芸家の指導で体験するなどした。
ウルシ約50本のうち、採取できるのは順調に成長した半数程度。10月までに約20回、採取作業を行う予定にしている。漆は精製後、組合員の事業所や高松工芸高校で漆器作品の仕上げ塗りなどに使う。
同組合は今後、種から苗木を育てて無料配布し、県産漆の生産拡大を図る。松田理事長は「ようやく県産漆生産の第2段階に入った。県民にウルシを広く育ててもらえるよう、採取した漆でいい作品を生み出したい」と意気込んでいる。
参考:
植樹9年、県産漆で漆器制作へ/県工業協同組合 | 四国新聞
和うるし日記
この葉だより
浄法寺漆 – Wikipedia










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