南方熊楠の森、神島(かしま) #和歌山


気になる島。メモ。

神島 (和歌山県) – Wikipedia

神島(かしま)は、和歌山県田辺市にある無人島。全島が照葉樹林に覆われ、南方系の植物が多く知られることから、天然記念物に指定されている。南方熊楠が保存運動に動いたことでも知られている。

神島は田辺湾の内側にある無人島で、行政区分としては田辺市新庄町3972番地である。古来より島全体を海上鎮護の神として崇め、樹林は神林として、また魚付き林として地元の保護を受け、明治まで人手のほとんど入らない森林を維持し続けた。
この島が貴重な生物の住むところであることは古くから知られており、特にこの島に生育するハカマカズラの種子で作られた数珠は熊野詣での人たちに特別なお守りとして珍重されたことが知られている。明治期には南方熊楠が再三この島に渡り、生物採集を行った。
神社合祀によってこの島の森林が伐採される計画が出たとき、南方はこれに猛烈な反対運動を行い、地元の協力を得ると共に、中央の研究者や役人に働きかけ、法律的な保護がつくこととなった。1929年には昭和天皇がこの地を訪れたことも知られている。

熊楠の保護運動
1902年には南方熊楠が初めてこの島に渡り、2年後には田辺に居を定め、神島を含む周辺の生物研究にいそしんだ。神島の粘菌については「植物学雑誌」に報文を出している。
ところが1907年頃から始まった神社合祀運動の中で、神島神社も新庄村の大潟神社との合祀が決まり、神体のなくなった島は伐採してよい、ということで伐採が始まり、その代金で新庄小学校の校舎改築の代金にする事になった。熊楠は神社合祀に反対運動を行っていたが、特に神島は学術上の重要性があるとして大いに反対した。彼は神島の森の伐採が漁業に大きな悪影響があること、ハカマカズラの重要性やその保護の意義などを説いて新庄村長を説得したところ、村長も納得し、村議会で伐採の中止を決議、代金の払い戻しを行った。ただし、この時点で「こやま」の伐採はすでに行われている。
熊楠はこれに飽き足らず、神島については法律的な保護が必要と考え、東京大学教授の松村任三と貴族院書記長官の柳田国男に長文を送って保護を訴えた(南方二書といわれる)。これを受けて和歌山県は1912年に神島を魚付き保安林に指定した。熊楠はこれだけでは不足と考え、さらに田辺高等女学校の宇井縫蔵と共に「ハカマカズラの北限自生地」として和歌山県の天然記念物に指定するよう申請を行い、1930年には県の天然記念物に指定された。
1929年に昭和天皇が田辺湾に軍艦で来訪、神島に上陸して生物調査を行い、その際に熊楠は軍艦の上で進講した。それを機に熊楠は大阪毎日新聞に「紀州田辺湾の生物」を連載、そこで神島の生物や貴重性についても詳しく書き、またすでに一部が伐採されたことにも触れた。また翌年には天皇行幸を記念して熊楠の自詠自筆による歌碑が建てられ、それを機会に彼は神島を国の天然記念物にすることを提唱した。彼はその資料を作るために1934年に田辺営林署に依頼して島の詳しい地形図を作成させ、営林書院や地元の学校教員などの協力を得てこれにすべての樹木の位置と種名を書いた「田辺湾神島顕著樹木所在図」を作成、それに調査報告書を添えて文部省に提出、国の天然記念物の指定を申請した。それに対してその翌年、植物学の三好学、地質学の脇水鉄五郎が調査のために来島、それらを受けて1936年に指定された。
なお、熊楠の死後、1962年に昭和天皇が行幸の際に熊楠を偲んで詠んだものによる歌碑は、白浜番所山の、ちょうど神島を見通せる尾根に建てられている。

熊楠以降
それ以降もこの島での学術調査は数多い。特に陸産貝では畔田徳米や波部忠重もこの島で調査を行い、1949年に日本貝類学会が白浜京都大学臨海実験所で行われた際にはエクスカーションがこの島で行われた。
その後、新庄村が田辺市と合併し、島の管理が田辺市に移った。1955年、田辺市教育委員会に文化財調査会が設置され、その最初の事業として神島の調査が行われた。これは戦後の混乱期に神島で盗伐が行なわれたことや、熊楠の調査から20年も経過していることなどによる。この調査では土壌動物の調査を愛媛大学の森川圀康に依頼した。
まとまった調査としては、第三回のものが1983年から田辺市教育委員会によって行われた。これは熊楠の調査からほぼ半世紀を経ていたこと、その間に様々な変化があったらしいことがわかってきたためである。調査は3年にわたって行われ、その報告書は1988年に出された。以下の生物相などの記述は主としてこれによっている。
その後も個別の研究者がこの島を訪れることはあり、それぞれに成果が上がっている。

熊楠の森―神島(かしま)
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