瀬戸内海の岡村島の柑橘農園を撮影させて頂きました。広島県呉市のとびしま海道の終着点でありながら、みかんの国、愛媛県今治市に所属する島ということもあり柑橘の種類が豊富。甘平、せとか、はるか、文旦、不知火、ぽんかん、ネーブル、清見、甘夏。多種多様な色の柑橘が島を彩っています。
島根県隠岐諸島の海士町で知り合った佐野佐知さんが結婚・出産して故郷の瀬戸内海の岡村島(愛媛県今治市)に帰っているとのことで数年ぶりにお会いでき、お母さまに島の農園を丁寧に案内していただきました。(以下取材メモ。)
対岸に大崎上島や呉市街が見える島の北側の柑橘農園。お母さんが子どもの頃は、早朝、まだ暗い時間から農園に父親と行き、火を焚いて日の出を待ち、農作業を手伝っていたのだそう。今は農道が整備されて車で荷運びができるけど、それまでは人力で収穫した柑橘を斜面にぽつんと建つみかん小屋に運び熟成させそれを出荷していました。
索道(さくどう/ロープウェイのような運搬用ケーブル)やモノラック(モノレールのような農業機械)が導入されて農作業はだいぶ楽になりましたが、その苦労は想像に容易いです。しかし、それでも赤土の畑と潮風のお陰で昔からこの地域の柑橘は特別に美味しいと知られていたそうです。
島内の狭く湾曲した道は、昔は半分は小川が流れていて、子どもたちの遊び場でした。その道を大八車(だいはちぐるま)にみかんをいっぱい乗せて運んだのもいい思い出。若い頃は島から出ていきたいという気持ちもあったとか。この農園を案内したある方に「こんなに綺麗な景色は他に見たことない」と絶賛されてとても嬉しかったと、お母さん。
映画『この世界の片隅に』で主人公のすずが、白波が立っている瀬戸内の風景を跳ねるうさぎに見立てて描く絵が印象的です。この日は寒波がやってきて、映画の舞台の呉の街を望む瀬戸内には「波のうさぎ」が飛び跳ねていました。お父さまと寒い冬に火を焚いた朝、子どもの頃のお母さんの瞳には飛び跳ねる白いうさぎが映っていたかもしれません。
地域おこし協力隊で島に入られたご夫婦が独立して『まるせきカフェ』を運営しながらロバのボーノのいる農園でケーキの柑橘などをつくられています。カフェは島人の憩いの場所になっており、この日も島のお母さん達が楽しそうにお話していました。案内してくださった佐知ちゃんのお母さんは島の音楽の先生だったこともあり、定期的に『うたごえサロン』を開催。楽器なしで懐かしい音楽や、「関前みかん小唄」「岡村島音頭」などの島唄をみんなで歌う大人気の企画になっているのだそう。
この日は毎年2月11日に行われる『姫子島神社弓祈祷』の前日。雪が降る中、多くの人が忙しなくお祭りの準備に追われていました。この祭りには、もう10年近くニューヨークから参加しにこられる方がいらっしゃるのだそう。
関前みかん小唄
①関前よいとこ みかんのでどこ
山に黄金の 山に黄金のひがはえる
ソレ チョッキリ チョッキリ チョッキリサ②沖の千里も みかんの香り
流れ雲さえ 流れ雲さえ ふりかえる
ソレ チョッキリ チョッキリ チョッキリサ③月もおぼろの 観音崎は
忍ぶ恋路の 忍ぶ恋路の 花みかん
ソレ チョッキリ チョッキリ チョッキリサ④小大下石山 真白い肌と
みかん摘む娘の みかん摘む娘の 玉の肌
ソレ チョッキリ チョッキリ チョッキリサ⑤男度胸の 船出の唄は
あれは丸関 あれは丸関 みかん船
ソレ チョッキリ チョッキリ チョッキリサ⑥灘の苦労も しばしの程よ
やがて嬉しい やがて嬉しい みかん島
ソレ チョッキリ チョッキリ チョッキリサ⑦丸くおさめて みかんのように
晴れて楽しい 晴れて楽しい 新世帯
ソレ チョッキリ チョッキリ チョッキリサ
関前諸島(せきぜんしょとう)は、岡村島、大下島、小大下島の3島からなる、瀬戸内海中部の諸島。芸予諸島の一部をなし、愛媛県今治市に属する。2005年1月の市町村合併までは3島で越智郡関前村を構成していた。
今治港の北西約17kmにある。北に広島県の大崎上島、西に大崎下島があり、地理的に広島県に近い。岡村島が中心的な島で、今治市関前支所(旧・関前村役場)がある。岡村島はクロツバメシジミの生息地が存在することで知られる。
岡村港、小大下港、大下港には、フェリー発着可能な乗り場が整備されている。岡村島は安芸灘とびしま海道にて、本州と陸路でつながっている。愛媛県へは直接つながってないため、夜間や荒天時は実に17本もの海上架橋を通過する必要がある。他の2島は離島である。広島県の大崎上島や、愛媛県の大三島への架橋構想がある。
コメントを残す