しめ飾り研究家の森須磨子さんの調査に同行させていただき瀬戸内海の中心に浮かぶ伊吹島(いぶきじま)へ行ってきました。讃岐うどんには欠かせないいりこの島です。この島では、「懸の魚(かけのいお)」という独特な形のしめ飾りがつくられていました。いまでは島の中でもこのしめ飾りを作ることができる人はとても少なくなり、今回特別につくっていただきました。いりこの島と呼ばれる前は、鯛網漁が盛んだったので鯛を裏側につけて豊漁の願いを込めました。

湧き水がなく昔は井戸水中心だった漁業の島には、田んぼがなく稲わらが手にはいりません。コンバインでは稲わらが粉砕されたり、短くなってしまいしめ飾りづくりには向かないため、手刈りされた稲が必要となりとても貴重です。四国本土側の観音寺や多度津のご親戚、丸亀市沖の牛島など人のつながりを辿って稲わらを手に入れているそうです。人のつながりがこの島のしめ飾り文化を長い間支えてきたのですね。

2016年12月撮影

しめかざり—新年の願いを結ぶかたち
森 須磨子
工作舎
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