テートモダンにいったら、
先日まで入口から見えないように工事してたタービンホールの地面に
巨大な亀裂ができていました。奥行き167メートル。
コロンビアのアーティスト、ドリス・サルセド(Doris Salcedo)の作品。
テートのタービンホールでやる空間インスタレーションは毎回レベルが高い。
この場合、作品そのもの意味がどうとかは僕にとってはどうでもよくて、
この作品をみたときの感動は、「こりゃどうやってつくったんだ」っていう驚嘆。
その感動は、プロセスに想いを馳せるところから始まっていることに気がつきます。
感動の種類にもいくつかあって、これはその種の
制作の過程に想いを馳せることで生まれる類の感動なのだと思います。
パソコンで加工して出力されたデジタル写真より、
暗室で色鮮やかにプリントされたアナログ写真のほうが、
うけがいいのもこのせいなのだと、最近は理解してます。
しかしながら、サルセドさん曰く、
「重要なのは、作品の持つ意味です。作り方は重要ではありません」
作品は、人種の間にある深い溝を表現したのだそう。
僕はそれを右から左に受け流して、見入ってしまったのでした。
ちなみに下のサイトから他の作品をみられます。かなり舞台美術の参考になります。
僕もテートモダンくらい大きいな舞台を7000万円くらいの予算で頼まれたら
ヒビよりもっとすごいヒビつくってやるっ。
 
 > ロンドン(London)の近現代美術館、テート・モダン(Tate Modern)で8日、
 > コロンビアの芸術家、ドリス・サルセド(Doris Salcedo)の
 > インスタレーション展『Shibboleth』が始まった。
 > この展示は同美術館内にある奥行き167メートルの
 > 「タービン・ホール(Turbine Hall)」のコンクリートの床に、「ひび」を表現したもの。
 > ひびは髪の毛の細さのものに始まり、徐々に太く深くなり、床をジクザグにはう。
 > 制作には1年、展示には5週間かかったという。
 > サルセドは記者団に対し、「重要なのは、作品の持つ意味です。
 > 作り方は重要ではありません」と、人種主義や白人と
 > その他人種との間の深い溝を表現した作品の意味の重要性を強調した。
 > ひびの深さについて聞かれると、「底はありません。人間性と同じくらい深いのです」と答えた。
 > 露出しているひびには金網が組み込まれている。
 > これは、「境界や仕切りを設ける際、最も一般的に使われている手法」だからだという。
 > 「作品は国境、移民の経験、人種差別の経験、人種的憎悪の経験、
 > 欧州の中心地に来た第3世界の人たちの経験を表現しています。
 > 例えば、不法移民が占拠しているのは負の場所です。
 > だから、この作品は負の場所なのです」
 > 『Shibboleth』はサルセドが英国で行う初の展覧会。
 > もともと発電所だった場所を改築して作ったテート・モダンのタービン・ホールでは毎年、
 > ユニリーバ(Unilever)の提供で現代芸術家による
 > インスタレーション作品の展示が行われているが、今回はその8回目にあたる。
 > 2006年はカールステン・フラー(Carsten Hoeller)の巨大滑り台だった。
 > 同美術館では展示の間、スタッフがひびのそばに常駐し、
 > 見学者が足を踏み外して落ちたりしないよう、注意を促すという。
 > 2008年4月にはひびを埋めることで展示が終了する。
 > テート・モダンのニコラス・セロータ(Nicholas Serota)館長は、
 > 「痕跡」は「作品の思い出とドリスが取り上げた問題の思い出」として残ると語った。
 > Shibbolethはもともと旧約聖書で使われていたヘブライ語で、
 > 「よそ者を見分けるための慣習」を意味した。
 > Doris Salcedo’s Shibboleth is the first work to intervene directly
 > in the fabric of the Turbine Hall.
 > Rather than fill this iconic space with a conventional sculpture or installation,
 > Salcedo has created a subterranean chasm that stretches the length
 > of the Turbine Hall. The concrete walls of the crevice are ruptured
 > by a steel mesh fence, creating a tension between these elements
 > that resist yet depend on one another. By making the floor
 > the principal focus of her project, Salcedo dramatically shifts our perception
 > of the Turbine Hall’s architecture, subtly subverting its claims
 > to monumentality and grandeur. Shibboleth asks questions
 > about the interaction of sculpture and space, about architecture
 > and the values it enshrines, and about the shaky ideological foundations
 > on which Western notions of modernity are built.
 > In particular, Salcedo is addressing a long legacy of racism
 > and colonialism that underlies the modern world. A ‘shibboleth’ is a custom,
 > phrase or use of language that acts as a test
 > of belonging to a particular social group or class.
 > By definition, it is used to exclude those deemed unsuitable to join this group.
 > ‘The history of racism’, Salcedo writes, ‘runs parallel to the history of modernity,
 > and is its untold dark side’. For hundreds of years,
 > Western ideas of progress and prosperity have been underpinned
 > by colonial exploitation and the withdrawal of basic rights from others.
 > Our own time, Salcedo is keen to remind us, remains defined
 > by the existence of a huge socially excluded underclass,
 > in Western as well as post-colonial societies.
 > In breaking open the floor of the museum, Salcedo is exposing
 > a fracture in modernity itself. Her work encourages us
 > to confront uncomfortable truths about our history
 > and about ourselves with absolute candidness, and without self-deception.

参考:
Doris Salcedo – Wikipedia [Link]
Doris Salcedo at Alexander and Bonin [Link]
White Cube — Doris Salcedo [Link]
テート・モダンに意外な「落とし穴」が出現 AFPBB News [Link
ロンドンのテート・モダンで人種差別を表現した「ひび」の展覧会 AFPBB News [Link]