SF作家、ケン・リュウの短編小説『円弧(アーク)』が実写映画化され、映画『Arc アーク』として2021年6月25日に公開予定です。世界的建築家・丹下健三さんの初期の代表的建築物でもある香川県庁舎(1958年)や小豆島にて撮影が行われ、多くのシーンの背景として映像美の演出に一役買っています。監督は、石川慶さん、出演は芳根京子さん、寺島しのぶさん、岡田将生さん、倍賞千恵子さん、風吹ジュンさん、小林薫さんらが共演しています。

The movie “Arc” will be released in June 25th 2021. Kagawa Prefectural Office Building (Architect Kenzo Tange in 1958) and Shodoshima island were used as a shooting place for the movie.

Arc アーク
公開:2021年6月25日
監督:石川慶
原作:ケン・リュウ『円弧(アーク)』
出演:芳根京子、寺島しのぶ、岡田将生、清水くるみ、井之脇海、中川翼、中村ゆり、倍賞千恵子、風吹ジュン、小林薫
音楽:世武裕子


プラスティネーション(遺体を永久保存する技術)
香川県庁舎東館の一階ロビー。木製や陶製の椅子、木製棚、石テーブルなどは丹下研究室が設計し、香川県の桜製作所が制作しました。


寺島しのぶさん。
背景の陶板壁画は、香川県出身の洋画家 猪熊弦一郎さんの『和敬清寂』。茶道の精神に戦後民主主義の理念を読み取り、太陽と月で表現したもの。


太陽と月。


赤い扉が印象的。この背景がどうかはわかりませんが、県庁ホールの扉は、赤色が印象的な香川漆芸の「後藤塗」。県庁ホールの内装や家具の設計は、キッコーマンの醤油差しや、ヤクルトの容器のデザインでも知られるインダストリアルデザイナーの剣持勇氏さんによるものです。


記者会見のような風景。県庁ホールではなさそうですが、県庁のどこかの会議室でしょうか。


丹下研究室設計の木製クローク


新本館(2000年)。地上22階、地下2階、最高部113メートルの鉄骨造。


発煙筒を手に行進をする人々。その背景は、香川県庁舎東館。コンクリートでありながら、木造建築の柱と梁の水平垂直のラインが印象的な建物です。勾欄(手摺)付きのベランダなど、日本の伝統的建築の様式をコンクリートによって実現しています。


監督:石井慶。「蜜蜂と遠雷」「愚行録」
香川県庁舎東館のピロティにある外階段でしょうか。木製の手すり。


豪華な出演者。出演:芳根京子、寺島しのぶ、岡田将生、清水くるみ、井之脇海、中川翼、中村ゆり、倍賞千恵子、風吹ジュン、小林薫。
右側の石垣が個人的にはとても気になります。小豆島の池田の桟敷?山本忠司さんの建築?


男木島灯台でしょうか?


無塗装の石積み灯台。


小豆島かな?


香川県庁舎の1階ピロティ。市民に開かれた建築であるべく、戦後の民主主義を表した建築空間。当時の香川県知事・金子正則さんと丹下健三さんが香川県庁舎で目指したのは、戦後の民主主義を表した、市民が自由に立ち寄れる開放的な公共空間。県庁舎の正面玄関の前には約7mの柱で持ち上げたピロティが設けられています。ピロティは、ル・コルビュジエが提唱した近代建築五原則のひとつです。丹下健三さんによって提案された地上部分を市民に開放するという考え方は、その後の日本全国の公共建築で採用されるようになります。床に敷かれた丸い石は、香川県高松市庵治沖の高島​の浜から地元の漁師さんたちが採取した石。ピロティに設置された円形の石灯篭は丹下さんデザイン。


第1回BCS賞(建築業協会賞)、公共建築百選、DOCOMOMO JAPAN20選
型枠に杉材を使用することにより柱、梁のコンクリートには美しい木目模様が写しだされています。


木製クローク

男木島灯台
日本に2つしかない石造りの灯台。男木島灯台 – The stone lighthouse at Ogi island

2021 映画『Arc』製作委員会

2021 映画『Arc』製作委員会


【アーカイブ配信】映画『Arc アーク』完成報告会 – Youtube

Arc アーク – Wikipedia

主演の芳根は監督の石川に「何故自分に託すのかという嬉しさもあったが、恐怖や疑問といった負の感情が自分の中であまりに大きく存在したため、回答を躊躇った」としつつ、「監督が自分の言葉に真摯に耳を傾け、背中を押してもらった事で本作の世界に飛び込みたいと決意した」と語っている。監督の石川は「不老不死の物語は数あれど、ケン・リュウが描いた物語は決して単なる不死への警鐘ではない」とした上で、「不死という未知の存在を手にした身体に対して、果たして自分たちの知識や価値観が追随できているのかと強く問いかけている」からこそ、「アンチエイジングが発達している現在、ストップエイジングも決して遠い未来の話ではない」とコメントしている。

キャスト
リナ:芳根京子
エマ:寺島しのぶ
天音:岡田将生
清水くるみ
井之脇海
中川翼
中村ゆり
倍賞千恵子
風吹ジュン
小林薫

スタッフ
原作:ケン・リュウ『円弧(アーク)』(ハヤカワ文庫刊『もののあはれ ケン・リュウ短篇傑作集2』より)
監督・編集:石川慶
脚本:石川慶、澤井香織
音楽:世武裕子
撮影監督:ピオトル・ニエミイスキ(P.S.C., J.S.C.)
照明:宗賢次郎(J.S.L.)
美術:我妻弘之
録音:山本タカアキ
編集:太田義則
キャスティング:吉川威史
装飾:山川邦彦
スタイリスト:高橋さやか
ヘアメイク:酒井夢月
振付:三東瑠璃
VFXスーパーバイザー:鈴木信哉
音響効果:柴崎憲治
助監督:近藤有希
製作担当:三村薫
エグゼクティブ・プロデューサー:ケン・リュウ、川城和実
製作:河野聡、池田宏之
コ・エグゼクティブ・プロデューサー:濱田健二
プロデューサー:加倉井誠人、仲吉治人
ライン・プロデューサー:古賀奏一郎
VFXプロデューサー:加賀美正和
音楽プロデューサー:杉田寿宏
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
配給:ワーナー・ブラザース映画
製作プロダクション:バンダイナムコアーツ
製作:映画『Arc』製作委員会

驚嘆と不思議(センスオブワンダー)。いつまでも胸に残る感動のラスト。壮大なるエンターテインメント!!

今この時代を生きるために【人生の軌跡=円弧(Arc)】に 思いを馳せるエモーショナルな物語。

ネビュラ賞、ヒューゴー賞、世界幻想文学大賞の3冠を制覇する世界的作家ケン・リュウの短編小説を、『愚行録』(17)『蜜蜂と遠雷』(19)で世界から注目を集める石川慶が映画化!主演の芳根京子が、一人の女性の17歳から100歳以上を繊細かつ大胆に、渾身の熱演を披露!その他、寺島しのぶ、岡田将生、倍賞千恵子、風吹ジュン、小林薫など豪華演技派共演陣が顔を揃える。

私は世界に触れる――人類初、永遠の命を得た女性の物語

舞台はそう遠くない未来。17歳で人生に自由を求め、生まれたばかりの息子と別れて放浪生活を送っていたリナ(芳根京子)は、19歳で師となるエマ(寺島しのぶ)と出会い、彼女の下で<ボディワークス>を作るという仕事に就く。それは最愛の存在を亡くした人々のために、遺体を生きていた姿のまま保存できるように施術(プラスティネーション)する仕事であった。エマの弟・天音(岡田将生)はこの技術を発展させ、遂にストップエイジングによる「不老不死」を完成させる。リナはその施術を受けた世界初の女性となり、30歳の身体のまま永遠の人生を生きていくことになるが・・・。

芳根京子 PROFILE
1997年生まれ、東京都出身。2013年「ラスト♡シンデレラ」で女優デビューし、翌年『物置のピアノ』(監督:似内千晶)で、映画初出演で初主演。同年、NHK連続テレビ小説「花子とアン」、16年にも「べっぴんさん」のヒロインを演じ、知名度は全国区に。映画出演は『心が叫びたがってるんだ。』(17/監督:熊澤尚人)、『累―かさね―』(18/監督:佐藤祐市)、『散り椿』(18/監督:木村大作)の演技が評価され、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。近作では、『居眠り磐音』(19/監督:本木克英)、『今日も嫌がらせ弁当』(19/監督:塚本連平)、『記憶屋 あなたを忘れない』(20/監督:平川雄一朗)、『ファーストラヴ』(21/監督:堤幸彦)など。公開待機作に『峠 最後のサムライ』(21/監督:小泉堯史)がある。

寺島しのぶ PROFILE
1972年12月28日生まれ、京都市出身。高校在学中にテレビドラマ「詩城の旅びと」(89)で女優デビュー。2003年、荒戸源次郎監督作『赤目四十八瀧心中未遂』と廣木隆一監督作『ヴァイブレータ』で国内外の映画賞の女優賞を数多く受賞。若松孝二監督作『キャタピラー』(10)ではベルリン国際映画祭銀熊賞(女優賞)を獲得。平柳敦子監督作『OH LUCY!』(18)ではインディペンデント・スピリット賞主演女優賞にノミネートされた。出演近作に『ヤクザと家族 The Family』(21/監督:藤井道人)、公開待機作に『キネマの神様』(21/監督:山田洋次)がある。

岡田将生 PROFILE
1989年生まれ、東京都出身。2006年デビュー。近年の映画出演作に、『何者』(16/監督:三浦大輔)、『銀魂』シリーズ(17、18/監督:福田雄一)、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(17/監督:三池崇史)、『伊藤くん A to E』(18/監督:廣木隆一)、『家族のはなし』(18/監督:山本剛義)、『そらのレストラン』(19/監督:深川栄洋)、『星の子』(20/監督:大森立嗣)、『さんかく窓の外側は夜』(21/監督:森ガキ侑大)など。今年は『ドライブ・マイ・カー』(監督:濱口竜介)、『CUBE』(監督:清水康彦)の公開が控えている。

清水くるみ PROFILE
1994年生まれ、愛知県出身。『桐島、部活やめるってよ』(12/監督:吉田大八)で注目を集め、その後数々の映像作品に出演。主な映画出演作に、『ジンクス!!!』(13/監督:熊澤尚人)、『orange -オレンジ-』(15/監督:橋本光二郎)、『青の帰り道』(18/監督:藤井道人)、山戸結希企画・プロデュース映画『21世紀の女の子』(18)、『チア男子‼』(19/監督:風間太樹)、『長いお別れ』(19/監督:中野量太)、『宇宙でいちばんあかるい屋根』(20/監督:藤井道人)などがある。

井之脇 海 PROFILE
1995年生まれ、神奈川県出身。『トウキョウソナタ』(08/監督:黒沢清)でキネマ旬報ベスト・テン新人男優賞、高崎映画祭最優秀新人俳優賞を受賞。ドラマ「義母と娘のブルース」(18〜20)、「俺の家の話」(21)、『ファブル』シリーズ(19〜21/監督:江口カン)、『サイレント・トーキョー』(20/監督:波多野貴文)、『砕け散るところを見せてあげる』(21/監督:SABU)など。公開待機作に『護られなかった者たちへ』(21/監督:瀬々敬久)、『ミュジコフィリア』(21/監督:谷口正晃)。

中川 翼 PROFILE
2005年生まれ、神奈川県出身。これまで出演した作品に、映画『僕だけがいない街』(16/監督:平川雄一朗)、『アイネクライネナハトムジーク』(19/監督:今泉力哉)、『くらやみ祭りの小川さん』(19/監督:浅野晋廉)、『浅田家!』(20/監督:中野量太)、2021年公開予定の主演作『光を追いかけて』(監督:成田洋一)、テレビドラマ「私を離さないで」(16)、「彼らを見ればわかること」(20)、「青のSP(スクールポリス)-学校内警察・嶋田隆平-」(21)、「ひきこもり先生」(21)など。

中村ゆり PROFILE
1982年生まれ、大阪府出身。『パッチギ! LOVE & PEACE』(07/監督:井筒和幸)で全国映連賞女優賞、おおさかシネマフェスティバル新人賞を受賞。その他、是枝裕和監督作『そして父になる』(13)『海よりもまだ深く』(16)、『ディアーディアー』(15/監督:菊地健雄)、『破門 ふたりのヤクビョーガミ』(17/監督:小林聖太郎)、『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(17/監督:瀬々敬久)、『居眠り磐音』(19/監督:本木克英)、『影踏み』(19/監督:篠原哲雄)、『Fukushima 50』(20/監督:若松節朗)などに出演。

倍賞千恵子 PROFILE
1941年生まれ、東京都出身。2019年末に公開した映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』(監督:山田洋次)を含む、『男はつらいよ』シリーズ全作品にさくら役として出演。1970年には、文化庁芸術選奨文部大臣賞を受賞。これまでに紫綬褒章(05)や旭日小綬章(13)など数多くの受賞歴がある。近年の映画出演作品は、『初恋~お父さん、チビがいなくなりました』(19/監督:小林聖太郎)、『461個のおべんとう』(20/監督:兼重淳)、声の出演で『天気の子』(19/監督:新海誠)など。

風吹ジュン PROFILE
1952年生まれ、富山県出身。75年、テレビドラマ「寺内貫太郎一家2」で女優デビュー。91年、映画『無能の人』(監督:竹中直人)で日本アカデミー賞優秀助演女優賞、『コキーユ 貝殻』(99/監督:中原俊)で報知映画賞主演女優賞を受賞。その後も、幅広い演技力で活躍。近年の出演作に、是枝裕和監督作『そして父になる』(13)『海街diary』(15)、山田洋次監督作『東京家族』(13)『家族はつらいよ』シリーズ(16〜18)、『魂萌え!』(07/監督:阪本順治)、『武曲 MUKOKU』(17/監督:熊切和嘉)、『そらのレストラン』(19/監督:深川栄洋)、『マチネの終わりに』(19/監督:西谷弘)、『浅田家!』(20/監督:中野量太)、テレビドラマ「やすらぎの刻~道」(19)主演。2020年に、毎日映画コンクール田中絹代賞を受賞。

小林 薫 PROFILE
1951年生まれ、京都府出身。85年に『恋文』(監督:神代辰巳)、『それから』(監督:森田芳光)で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。なお、『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン』(07/監督:松岡錠司)でも再び同賞に輝いている。主な出演作に、松岡錠司監督作『歓喜の歌』(08)、ドラマ・映画「深夜食堂」シリーズ(09〜19)、『舟を編む』(13/監督:石井裕也)、『武曲 MUKOKU』(17/監督:熊切和嘉)、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(17/監督:廣木隆一)、『泣き虫しょったんの奇跡』(18/監督:豊田利晃)、『夜明け』(19/監督:広瀬奈々子)、『ねことじいちゃん』(19/監督:岩合光昭)、『日本独立』(20/監督:伊藤俊也)、『花束みたいな恋をした』(21/監督:土井裕泰)のほか、2021年度大河ドラマ「青天を衝け」に出演。