ヴィアデュック・デザール – Viaduc des Arts

TAG :   CATEGORY : Fieldwork / Landscape

バスティーユから改装中のオペラ・バスティーユを横目に
今回のパリ調査で最も見に来たかったヴィアデュック・デザールに来てみました。
かつての鉄道高架の上を緑道にし、
アーチの下に生地専門店、絵画修復の工房、花屋、カフェが入っています。


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大学学部の卒業制作で下北沢の小田急線地下化後の
緑道の設計をした時に参考事例としてチェックしていたのでした。
当時から思っていたのは、
日本にこんな素敵なレンガ造りの高架があれば残したいと思うけど、
残念ながら日本の高架はネズミ色の鉄筋コンクリートか
下北沢の井の頭線にみられるような土手です。
丸の内のオフィス改革の時に赤レンガの建物を壊して
近代的なビルを建てたように、
きっと何十年も前にはいまほど赤レンガの建物なんて
「お洒落」という印象とは違ったのかもしれません。
予め奪われてしまっている現在の日本において
僕らの世代が公共的なランドスケープをつくる際に考えるのは、
現在はその価値に気がついていないものに価値を見出すか、
或いはかつてそこにあった建築やランドスケープを再現するという方向の2つです。
前者は、例えばヨーロッパでは近年盛んにみられる
空き倉庫や工場をリノベーションして商業施設やアトリエにするというもの。
日本ではまだこうした建物そのものの価値を一般的には認められていない気がしますが、
恵比寿のZESTや寺田倉庫が手がける天王洲のTYハーバーのように
いくつかの事例がみうけられます。
パリにおいてエッフェル塔やルーブルのガラスピラミッドがそうだったように
都市における建築物の評価というのは難しい。
何故なら時間とともにそれが変化するからです。
都市の歴史的な文脈(コンテクスト)にそって内容(コンテンツ)が描かれるべきとする、
つまり街になじんだ建築がつくられるべきというのが
良い建築・悪い建築のひとつの評価軸になりえるものの、
難しいのは、都市においては建築やランドスケープは、
時間が経つにつれてコンテンツがコンテクストになり得るということだ。
つまり、異物としてつくられたエッフェル塔が、いつのまにパリの象徴となり、
今度はパリの多くの建物がエッフェル塔を向いて建てられているという事実。
これが難しい。何がいい建築なのかわからなくなる。
だからもしかしたら、いま東京でみられる風景で、
電線が空を覆う小さな道 や コンクリートの高架高速道路など
忌み嫌われる東京オリンピックと高度経済成長の負の遺産は、
もしそれらを一掃して広幅員の街路にしてしまったら、
「あのなつかしい風景をなんで消しちゃったんだろ」と悔やむかもしれない。
実際、東京の歴史を調べているとなんでこれ壊しちゃったんだろ
っていう事例は懐かしいとか芸術的だとかっていう感情的な問題ではなく、
産業体として残しておけば大きな観光資源になっただろうにと思うものばかり。
後者の「再現」という設計の方向においては、玉川上水の復活にあるように、
ノスタルジーとは別の次元で都市において
それが必要な理由が明確にされる必要があるでしょう。
生物多様性とかヒートアイランド対策が近年の常套句なのかな。
なんてことをぶつぶつとつぶやきながら、ガラガラスーツケースを引いてパリを歩く。
これは本当に見に来てよかった。また今度ゆっくり見てみよ。
ただし次回はスーツケースをちゃんとどこかに預けて観光したい。
パリの道はおっしゃれな感じなので、スーツーケースが進まない進まない。
パリ調査が終わる頃には腕が動かなくなってました。いい修行になりました。
スーツケースをガラガラと歩きやすくするネズミ色アスファルトの機能性と
パリの歩道を覆う、石畳のおしゃれな見た目。
その両方のいいところどりができたらすごくいい提案になりそうだ。

ヴィアデュック・デザールViaduc des Arts

オペラ・バスティーユは、かつてのヴィンセンヌの森への国鉄近郊線の発着する駅舎を取り壊して建てたものその裏から続く高架線下が、職人のアトリエ、またインテリア、楽器などのブティック街、ヴィアデュック・デザール Viaduc des Artsとして生まれ変わった。高架線跡には鉄道の代わりに「緑の散歩道」が作られ、ヴァンセンヌの森までののどかで美しい散歩道となっている。かつて、パリの中心地から「あまりに離れている」、と旅行客の足が遠のいていた、ヴァンセンヌの森に至るまでの南東地区も一転して近くなり、今は活気付いている。

これより先に開発の進んでいたベルシー地区(リヨン駅南に位置する)も昔は酒蔵のあったところ。現在は多目的総合体育館をはじめ、現代的なアメリカン・センター、さらにノボテルなどのホテルが建ち、あとは食料品の見本市の完成をまつばかり。現代建築に囲まれた公園には、小さなブドウ畑が残り、かつて、ワインに縁深かった土地であることがうかがえる。
地球の歩き方 より抜粋

参考:
Le Viaduc des Arts [Link]
『芸術の高架橋』をお散歩 Viaduc des Arts »パリ発毎日更新フランス [Link]
パリ 装飾芸術美術館 と Viaduc des Arts-高架線下のアトリエ [Link]
パリの美術館・博物館 12区[フランス・ツーリズム旅行情報局] [Link]
お出かけ日記 : Viaduc des Arts(ヴィアデュック・デザール)@Paris,4e [Link]

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2 Comments

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