妄想ピクニック のすすめ

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さてこの方法が
いつ身についたのかよくよく考えてみたら
どうやらその原点は小学生2年生までさかのぼってしまいました。
僕は人生のほとんどを茅ヶ崎で過ごしましたが、
小学校2年の時に千葉の稲毛にある
朝日ヶ丘小学校に2年間だけ転校しました。
この朝日ヶ丘という街はその名のとおり丘の町で
地形の起伏が激しい街でした。
小学生の僕らの間ではその頃、ミニ四駆が空前の大ブーム。
でも、このおもちゃを自由に走らせるには、家の中では狭すぎる。
ミニ四駆の馬力をもてあましていました。
そこで、誰からともなく流行りだしたのが、
道の脇にある側溝をコースに見立ててミニ四駆を走らせる遊び。
これがもう、面白くて面白くて。
起伏の多い街なので、
家が建てられない隅地や斜面がそこらかしこにあり、
そこにあった起伏に富んだコースを
ミニ四駆以外にも裏山でターザン遊びをしたり、
崖の上にある木に秘密基地をつくったり、
たった2年間の滞在だったにも関わらず、
街で遊んだという記憶が強く残っているのです。
さて、ここからが本題の「妄想ピクニック」について話そうと思います。
時は経って大学に合格して時間に余裕ができた頃、
子供の頃駆け回ったその街のことがふと脳裏をよぎり、
目をつむって思い出してみようと思ったのでした。まあ軽い暇つぶしです。
そうしたら驚くことに、
小学生の僕の脳みそに焼き付けられた街の風景はとても強かったようで、
ものすごく鮮明に木の一本一本、道なき道、街全体の地形を
思い出すことができたのです。
面白かったのは、当時は知らなかった木の名前を
後になって木の葉を思い出してみて
「あぁ、あそこの街路樹はマテバシイだったのか」と
10年以上も後に解釈が後からついてきたことです。
それ以降、この「妄想ピクニック」という一人遊びを
電車の移動中など暇なときにやるようになり、
これまで自分が行ったことのある日本や海外の
いろんな街を思い出して妄想の世界でピクニックをしています。
簡単そうに思えるこのピクニックですが、
実はちょっとしたテクニックが必要で、
慣れるまでは人の歩く速度で歩くのが難しく、
どうしても早送りのようになってしまいます。
これはたぶん、風景ディテールの記憶を引っ張り出すのが面倒なので、
すっとばして移動したくなっちゃうんだろうと思います。
なんとなくGoogleEarthでズームした時に解像度の高い映像を
読み出すのに時間がかかるのに似ている気がします。
そこを根気強くゆっくり人の歩く速度で歩く。アンダンテ。
こうした脳みその修行は、結果的に、
地理を把握する能力や舞台美術などの空間を設計する仕事にも
役立っているのだと、今になって思います。
でもそれでも僕はまだ修行半ばで、
これからももっともっとこのピクニックをしていきたいと思っています。
ジョン・エヴァレット・ミレイみたいな細密描写のすごい人なんかが
妄想する風景の解像度はすごいディテールを備えてるんだろうな。
きっと、絵をかいている間、ずっと女の子を水に浮かべておくわけにもいかないしー、
(オフィーリアのモデルは、ラファエル前派の画家ロセッティの妻、エリザベス・シッダル)
描いているうちに日が暮れて色がぜんぜん違ってきちゃうだろうしー、
とかなんとか思ったりします。
だいぶと話が脱線してしまいましたが、
「妄想ピクニック」よかったら、皆さんもためしにやってみてください。

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