魅力的な都市空間の創出~水辺から考える"東京"~ – 東京ビッグトーク~石原知事と議論する会



ポンテ・ベッキオ橋(フィレンツェ)、ポンテ・デカルテ橋(ベニス)、ポンデザール橋(パリ)、
ポンデザール橋(パリ)、パリのグランドトラム構想、海の森構想。
 日程:2006年08月29日(火)
 時間:17:30~19:00
 場所:第一ホテル東京シーフォート 28階 トップ・オブ・ザ・ベイ
 参加:石原慎太郎(東京都知事)、安藤忠雄(建築家)、山本容子(銅版画家)、神田紅(講談師)
 石原知事
 > 私は知事になってますます東京に関して憤慨というか、情けない思いが募っているんです。
 > 日本の商工会議所の最初の会頭だった渋沢栄一は、江戸の遺産である運河を評価して、
 > 東京を近代化していくことでアジアのベニスにしようという意図があったそうです。
 > けれども、結局、官僚が東京の水辺をこのていたらくにしてしまった。
 > 例えば、隅田川をご覧なさい。昔は、柳橋という花街があって、和船が来て、
 > 「新内の流しがございますけれども、お二階さんいかがですか」と。
 > そのうちに護岸ができて、このごろはその上がり口もふさいでしまったから、
 > 全く取りつく島がない。隅田川に限りませんが、日本の河川は本当に死んでしまったんです。
 > 昔の木場を用途がなくなったので埋め立てして、運河が少し残っていますが、
 > その運河がどうなっているか、行ってご覧なさい。
 > 公園を行ったり来たりするためにかけた橋が何本かありますが、その下の水路は船が通れない。
 > せいぜいローボートをこいでいって、頭をかがめなかったら通れない。
 > そういうばかな橋をかけて、完全に運河の機能がなくなっている。
 > 運河を使った水上レストランというのは、実は私の友人が言い出した。
 > 「昔、タグボートに引っ張られた土砂なんかを運んで捨てるバージが
 > 東京と神奈川県で500パイあるんだけれども、今、つなぎっぱなしで使われない。
 > あれを使って、レストランをやりたい」と。建設省(今の国土交通省)に言ったら、
 > どうぞと言いながら手続、書類で思った以上時間がかかったが、とにかくあそこに実現した。
 > 今、千客万来で、真似してあちこちにできるみたいです。
 > 歴史が新しいと言ったら新しいけれども、こんなあたりよりも隅田川のほうが情緒がある。
 > 歴史もある。何であの川を活かせないかと思うけれど、建物は全部背中を向けていて、
 > 川に沿ったところに裏口もないんです。あの護岸は崩すわけにいかないから、
 > せめてちょっとしたモーターボートで皆さんが散歩してぽっと上がれるような、
 > 非常に簡単な桟橋をつくっていけば、賑わいも戻ってくると思います。
 山本(コメンテーター)
 > きょうここで言いたいことが二つあります。一つは橋のこと。もう一つは船のこと。
 > この二つは、水辺を魅力的にするということを考えるときに大事な要素だと思います。
 > 隅田川には18の橋がかかっていますが、あまりに機能を優先して、
 > 橋そのものの魅力について考えることがないのではないでしょうか。
 > 私は外国のいろんな水辺を旅しています。
 > 例えば、パリのセーヌ川、ロンドンのテムズ川、ドナウ川にもたくさんの橋がかかっているし、
 > ベネチアは、400もの橋でつながれた一つの島になっています。
 > 橋がいかに水辺にとって魅力的なものかという例は、世界じゅうにあります。
 > 日本では橋の魅力として何が欠けているのか。
 > 例えば、隅田川にかかっている18の橋の中に一つだけ、
 > 桜橋は車が通れないようになっていますが、
 > もっと大きな橋で人しか通れない橋をつくることはできないのだろうか。
 > パリのセーヌにかかっているポンデザールという木の橋は、人が通るにはとても大きくて、
 > 橋の上はまるで広場のようになっています。
 > ドナウにかかっているチェコのカレル橋も、橋の上は車が通りません。
 > 非常に幅が広いので、大道芸人が出たり、左右でみんなが憩うことができたり、
 > 物が売られていたりします。橋がただあちらからこちらへ渡る道路という考え方ではなくて、
 > 広場というものが川の上にかかっているわけです。
 > また、橋は見られるオブジェでもあります。きれいな橋は、
 > 水上を航行して見上げる人のためにも顔を持っているわけです。
 > 例えばカレル橋は、橋の両側に彫刻が並べられていて、渡る人を楽しませてくれるだけではなく、
 > 水上からその彫刻の裏側が見えます。彫刻作品というのは、
 > ぐるっと回って初めてその作品を認識するわけですが、
 > 橋の上から一方的に見るだけではなくて、橋の外、
 > つまり水上からその彫刻作品を完成させるという視点をもってつくられているのです。
 > これから隅田川の水辺を考えるときに、人しか通れない、
 > 広場のような大きな橋をぜひつくっていただきたいと思います。
 安藤(コメンテーター)
 > 都民ももっと水辺空間を楽しまなければいけないと思います。
 > 積極的に出ていかないと、いいまちになりません。
 > 私はたまたまベニスで美術館をつくっていまして、ベニスへ行くと、船の交通は遅いけれど、
 > 結構みんなそれに乗って楽しみながら、積極的に出る。
 > また、フローレンスにポンテ・ベッキオという、通路の両側にお店がある有名な橋があります。
 > もともと橋をつくる費用がなかったので、
 > お店をつくって店の権利金みたいなもので橋をつくろうかというような発想だったらしいんですけれども。
 > そういう発想で、ベニスにもポンテ・デカルテという橋があります。
 > これも両側にお店があります。ああいう橋、幅が広くて、お店もあり、
 > 楽しみながら行ける橋もかかるといいなと思います。
 > 国土交通省がなかなかOKしないかもしれませんが、
 > 時代も変わってきていますし、そろそろいいのではないかと思います。
 > 我々市民も、自分たちの責任と行政の責任をはっきりしなくて何でも悪いのは行政だと言うのは、
 > まずいのではないかと思います。川に寄ると危ないというのでどんどん護岸が高くなって、
 > できるだけ手すりを高くして海や川を見えなくしてきた。
 > 国土交通省も悪いかもしれませんが、市民も、「落ちたらどうするんだ」というところがあります。
 > 積極的に川を使うためには、個人責任と行政の責任とを分けて、
 > みんなが川の方に出ていって隅田川を散歩するというふうになっていくといいと思います。
 > 隅田川にたくさんの橋がありますが、全部構造形式が違います。
 > 技術的な工法が違うし材料も違う。見方によって楽しみが違いますので、
 > 都民は、自分のインテリジェンスを上げないと、わからない人が見ても何もおもしろくないわけです。
 > もうちょっとレベルアップして、自分のことは自分で楽しむんだと積極的に出ていけば、
 > 東京に発見する場所はいっぱいあります。そうしたら今度はだんだん国土交通省の方も、
 > 「出ていくのならば、もうちょっと出ていけるようにしようか」というふうになっていくと思います。
 石原知事
 > 安藤さん、どこか隅田川の一番おもしろいようなところ、
 > それぞれの末端が道路につながっていないところで、
 > 橋の上の商店街みたいな新しい橋、全然コンセプトの違う橋をつくったらどうだろう。
 安藤(コメンテーター)
 > いいと思いますね。橋をつくるには結構お金がかかるらしいので、
 > そのお金がかかる分だけ両方にお店をつくったり、広場をつくったり、
 > 真ん中で芝居小屋ができる橋があってもいい。
 > 技術のレベルが上がった時代ですから夢のある橋をつくってもいいなと思います。
 山本(コメンテーター)
 > 知事の「海の森(仮称)」構想※は私もすばらしいと思います。
 > そこにヒントになればと思ってまた旅先のことを言いますと、
 > 今、パリではグランドトラム構想といってバスをやめてトラム(市電)に戻そうという運動をやっていて、
 > 郊外を円環で結ぶトラムが、大分でき上がってきているところです。
 > これをこの間見てきたら、トラムが走る線路に全部芝生が植えられていたんです。
 > 線路だけれど、トラムが走らないときは広場になる。夜は芝生の広場がつながる。環境にもやさしい。
 > ただ木を植えるだけではなく、ちょっと利用できるとか、
 > 機能を持った場所が環境的にいい場所になるということを考えていくと、
 > おもしろいのではないかと思います。
 石原知事
 > 私は、きょういろいろヒントをいただきました。とても印象的だったのは、
 > 道路につながらない橋、橋そのものに商店街がある橋。
 > 要するに渡る目的じゃない橋を東京へつくりたいですね。
 > そうすると、その刺激で隅田川そのものがよみがえってくると思うし、
 > 今の無機的な護岸を、少し金をかけてでもかけかえようと動きも出てくると思う。
 > 皆さん、言うのは言うけれども、あまり行かない。これだけ稠密な息苦しい東京になってしまったので、
 > せめて人が出ていって、何もハワイやグアム島へ行かなくたって、
 > ちょっと足を伸ばせば隅田川を見て非常に楽しかったという、新しい名所をつくりたいと思います。
 > また皆さんいろいろお知恵を貸してください。頑張ります。ありがとうございました。
 ※「海の森(仮称)」構想
 東京港の中央に位置する中央防波堤内側埋立地に予定されている、
 区部最大級の公園の整備計画。この計画予定地は、昭和48年から昭和62年までの間、
 ごみの最終処分場として使われてきた場所で、現在は広大な空間となっている。

参考:
石原知事と議論する会 (東京都) [Link]
海の森(仮称)構想「答申」 (東京都港湾局) [Link]
「海の森(仮称)構想」の中間のまとめについて (東京都) [Link]
イタリア・フィレンツェ/ポンテ・ベッキオ橋 (kate-ketty.cocolog) [Link]
ポンデザール橋 (パリ) [Link]
ポンデザール橋の展覧会 週末最後のパリ観光 (Border Hopper Blog) [Link]
パリのトラム [Link]
トラム パリ (Wikipedia) [Link]


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