すずの兵隊さん – The Impossible Meeting

デンマーク出身のPeter Callesenさんの作品
デンマークの童話作家 アンデルセン(Hans Christian Andersen)の「しっかり者のスズの兵隊」をモチーフにしています。

以下は、童話 しっかり者のスズの兵隊 “The Impossible Meeting”。素敵なお話です。

あるところに25人のすずの兵隊さんがいました。
この兵隊さんはある男の子の誕生日プレゼントとして贈られたものでした。
この25人の兵隊さんはどれもそっくり同じ格好をしていましたが、
その中でただ1人だけ変わった格好の兵隊さんがいました。
その兵隊さんは足が一本しかなかったのです。
なぜかというと、この兵隊さんはいちばん最後に型に流し込まれて、
その時にはもうすずが足りなくなっていたからです。
でもその兵隊さんは一本足のままで、
他の二本足の兵隊さんたちに負けずにしっかりと立っていました。
さて、この一本足の兵隊さんは、
紙でできた美しいお城の入り口に立つ
かわいらしい女の子の事を好きになってしまいます。
その女の子は踊り子で、
両腕を広げて片方の足を思い切り高く上げていました。
そのため兵隊さんは、
その踊り子さんが自分と同じように片足しかないのだと思い込み、
自分のお嫁さんにぴったりだと考えたのでした。
あくる日の朝、一本足の兵隊さんは窓際に立っていて
そこからまっさかさまに落ちてしまいました。
そこへわんぱくな男の子が二人通りかかり、
新聞紙で作ったボートに兵隊さんを乗せて
みぞの中へ流してしまったから、大変です!
みぞの中はひどい波で、紙のボートは上へ下へと激しくゆすぶられました。
けれども兵隊さんは顔色ひとつ変えないで
しっかりと真正面を向いて立っていました。
突然ボートは長く真っ暗なドブ板の下に入りました。
するとそこに住んでいるドブネズミが通行税を払えと追いかけてきます。
けれども流れは急になるばかりです。
するとドブ板の向こう側に水がまるで滝のように
どっと流れ落ちているところが見えるではありませんか!
ボートは水でいっぱいになり、兵隊さんの首のところまであがってきました。
その時、紙がとうとう破れてしまい、
兵隊さんはその裂け目から水のなかへ落ちてしまいました。
するとどうでしょう、そこに大きな魚がやってきて
兵隊さんをのみこんでしまったのです。
魚のお腹のなかはとても暗くて狭かったのですが、
兵隊さんはやっぱりしっかりと
鉄砲をかついだままじっと横になっていました。
さて、魚のお腹のなかでじっとしていた兵隊さんは、
ある時ぱっと明るい光りを感じたかと思うと、
「まあ、すずの兵隊さんだわ!」という声を聞きました。
この魚は漁師につかまって、
市場に持ってこられてこの家の台所まできたのです。
そしてなんとその家とは
すずの兵隊さんがいた元の家と同じ家だったのです!
そこには同じ子どもたちがいて、
同じおもちゃが並んでいました。
そして、あのかわいらしい踊り子さんもいました。
彼女は相変わらず片方の足で立って、
もう一方の足を高く上げていました。
彼女もまた兵隊さんに負けないしっかり者でした。
この姿を見て兵隊さんは感激して
もう少しで涙が出そうになりましたが、
男らしく我慢をして、ただじっと踊り子の女の子を見つめました。
踊り子もまた兵隊さんのことを見ていました。
その時、小さい子どもの一人がいきなり兵隊さんをつかんで、
ストーブの中へ放り込みました。
兵隊さんは炎にあかあかと照らされて
おそろしく熱くなったのを感じました。
けれどもそれが火のせいなのか、
それとも自分の胸のなかに燃えている
愛のためなのかは分かりませんでした。
兵隊さんはかわいらしい踊り子さんを見つめていました。
娘さんも兵隊さんを見つめていました。
その時、突然風が吹いて、踊り子さんはひらひらと
ストーブの中へ飛び込んでいきました。
そしてめらめらと燃え上がって消えてしまいました。
すずの兵隊さんもその時には
もうすっかり溶けて小さいかたまりになっていました。
あくる朝、女中がストーブの灰をかきだすと、
灰の中にハート形をした小さなすずのかたまりを見つけました。
よもやまdansk アンデルセンいろは より

  

参考:
ハンス・クリスチャン・アンデルセン – Wikipedia
The Hans Christian Andersen Center
スズの兵隊 – Wikipedia
ハンス・クリスティアン・アンデルセン 楠山正雄訳
すずの兵隊 アンデルセン童話 <福娘童話集 きょうの世界昔話>
よもやまdansk しっかり者のすずの兵隊さん

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