香川県さぬき市の大串半島に活性化施設『時の納屋』が完成しました!設計は、豪華客船『ガンツウ(guntû)』や高知の『竹林寺納骨堂』などを手掛けた建築家の堀部安嗣さん。葉たばこの乾燥小屋ベーハ小屋のような越屋根がついた木造建築が特徴的です。コンセプトは「主役は建物ではなく環境と景観」、木造平屋地下1階建て延べ198㎡、事業費は3億1189万円。

The revitalisation facility ‘Toki no Naya’ has been completed on the Ogushi Peninsula in Sanuki City, Kagawa Prefecture! It was designed by architect Yasutsugu Horibe, who also worked on the luxury cruise ship ‘guntû’ and the ‘Chikurinji temple Nokotsudo’ in Kochi. The building is characterised by its wooden structure with a koshi roof like a leaf tobacco drying hut beha hut. The concept is “the main role is not the building but the environment and landscape”, with a total of 198 m2 of single-storey wooden structure and one basement floor, and a project cost of 311.89 million yen.

大串半島活性化施設『時の納屋』
時間:11:00~16:00
定休:火曜定休
連絡:087-884-6010
住所:香川県さぬき市小田2671番地75 [Google Maps]
施設:地上1階・地下1階 木造
面積:延べ床面積は約200平方メートル
機能:軽食などを提供するカフェスペース
設計:堀部安嗣建築設計事務所(平成28年 日本建築学会賞 作品)
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Ogushi Peninsula Revitalisation Facility ‘Toki no Naya’
Time: 11:00~16:00
Regular Holiday:Fire Day Regular Holiday
Contact:087-884-6010
Address : 2671-75 Oda, Sanuki City, Kagawa Prefecture
Facility : 1 storey above ground, 1 below ground, wooden structure
Area : Total floor space is approximately 200 square metres
Function : Cafe space serving light meals, etc.
Design: Yasushi Horibe Architect & Associates.
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2024/06/30撮影

建築へのメインアプローチ左手に設ける茂みは、かつてあった岬の尾根の緩やかな丘地形に戻し、地域在来種で種の履歴が地域自生のもの(地域性種苗)により樹林に育てていきます。先導植物としてマツ苗木とススキ(移植)を植栽し、初期の基盤となる景観形成を行ないます。今後この基盤の上に、地域性種苗による多種類の苗木を生産、混植し、樹林の育成管理を行なっていくことを意図しています。


ボスケ(眺望をフレーミングする樹木群)。建築と自然景観とのバランスを高める、瀬戸内海への眺望フレーミングを強調する、木陰を提供する等の役割をボスケが担います。ボスケの高木も地域性種苗で景観をつくる原則に則り、かつ当初からある程度の樹高が求められることから、地域に自生する樹木を「山採り」の手法で移植します。施工中も継続して候補樹を探索し、最適樹を植栽します。


大空間を支える挟み梁。間口9.10m×奥行7.28mの大空間となる広間は、嵌合接合による挟み梁と吊り束によって支えられます。木材は大断面の集成材等は用いずに無垢の木そのものの風合いを生かします。これらは、予め一部を地面で組み立て、吊り上げる「地組みによる揚重」によって設置されます。ダイナミックで感動的な建て方になるでしょう。大空間を支える東西面の壁の一部には通し貫を配置することで、本来の木造らしい、より粘りのある構造となります。


東の芝生広場に面したポーチは、日除けや雨宿りができる、豊かな半屋外空間を作ります。


向こうに見えているのは、小豆島。三都半島

越屋根。讃岐の原風景を思わせる「ベーハ小屋」には、効率的な自然換気を促す越屋根が設けられています。本建物にも越屋根を設けるとともに、太陽光発電パネルを設置することで、家庭菜園で野菜を採るように電気の一部を自給します。環境を制御する機能と性能、伝統と現代の共存の象徴となることを期待しています。


葉たばこの乾燥小屋、「ベーハ小屋」


茂み以外の植栽地はノシバによる芝地を作ります。芝地は「芝生」としてではなく、国立公園であるこの場所にふさわしい、地域固有の生物多様性の向上に寄与する「草はら」として、ある程度粗放管理でノシバに自然植生の草本類が混入してくることを許容し、混入してくるもののうち地域在来種を残し帰化植物を除草します。大串半島活性化施設の特徴となる自然性の高い景観づくりの基盤となる草はらを育成する意図としています。


花崗岩を利用した階段。本施設のランドスケープ設計は、地域内で手に入る地域らしい素材を活用したディテールのデザイン考案、また撤去物の再利用、建設材料運搬距離の縮減等を通じた建設工事プロセスにおける省エネ、省CO2、環境保全への貢献に配慮しました。地場産石材である庵治石を多用し、現場発生アスファルトガラを舗装基盤として再利用した石敷き、現場周辺に保存されていた石材を活用した石積み、石段(階段)等を設計し、この場所ならではの景観創出と環境保全を図ります。石工事においては施工中にサンプル施工を行ない、機能性の確保を行ないます。例えば、断面図の右の舗装は車椅子がスムーズに往来できる石敷きを意図しています。


瓦の大屋根とスギ大和貼りの外壁。屋根には淡路瓦を用います。遮音性、遮熱性、耐塩害性に優れる「性能」と人々の情感、記憶、原風景に影響を与える「情緒」を兼ね備え、風雪に耐えて生き残ってきた素材です。外壁にはスギ材を用います。抗カビ性、抗害虫(シロアリなど)性に優れる赤身板を互い違いに貼る「大和貼り」とすることで、交換ができるようにします。スギ材はやがてグレーに風化し、それは風景に馴染み、美しい経年が見られるでしょう。適切なメンテナンスを続ければ半永久的に持続する外装です。

大串半島活性化施設『時の納屋』
時間:11:00~16:00
定休:火曜定休
連絡:087-884-6010
住所:香川県さぬき市小田2671番地75 [Google Maps]
施設:地上1階・地下1階 木造
面積:延べ床面積は約200平方メートル
機能:軽食などを提供するカフェスペース
設計:堀部安嗣建築設計事務所(平成28年 日本建築学会賞 作品)
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Ogushi Peninsula Revitalisation Facility ‘Toki no Naya’
Time: 11:00~16:00
Regular Holiday:Fire Day Regular Holiday
Contact:087-884-6010
Address : 2671-75 Oda, Sanuki City, Kagawa Prefecture
Facility : 1 storey above ground, 1 below ground, wooden structure
Area : Total floor space is approximately 200 square metres
Function : Cafe space serving light meals, etc.
Design: Yasushi Horibe Architect & Associates.
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大串半島活性化施設建設工事進捗状況 | 香川県 さぬき市

香川県さぬき市では、平成30年度から取り組んでいる大串半島活性化事業について、自然豊かな大串半島を訪れる人たちがゆっくりと過ごせるように、休憩場所を兼ねた飲食施設を建設します。施設については、地上1階・地下1階の木造の施設で、延べ床面積は約200平方メートル。軽食などを提供するカフェスペースが設けられ、令和6年3月に工事完了予定、同年6月にオープン予定です。

設計説明書・技術検討報告書(PDF形式/3MB)

「大串半島活性化施設のランドスケープ設計は、この場所に昔から生育していた植物や樹木を植え直し 、国立公園にふさわしい姿に時間をかけて戻していく」ことを設計趣旨としています 。