世界に誇る日本の火の行事、とんど。「左義長(さぎちょう)」や、「どんと」などとも呼ばれていて、小正月(1月15日)前後に日本各地で行われています。お正月に歳神さまを迎え入れたしめ飾りを集めて燃やし、見送る意味があります。小豆島には、数多くのとんどが行われていて地域によってその形が異なると聞いて前日の組み立てから、翌朝に燃やすところまで撮影させていただきました。子どもから大人まで地域の人たちが集まり、浜辺で火を囲んで話をする。こんな光景が日本各地に広がっていると想像すると面白いです。とても心温まりました。

参考:小豆島のトンド – 瀬戸内生業史ノート

I proud of this Japanese fire festival “Toudo”. Tondo is the Japanese local fire festivals which are held in many places around 15th January (Ko shogatsu). They bring Shimenawa (enclosing rope) which has been use in their house on New Year’s Day and make big rorch by banboo them. Shimenawa are lengths of laid rice straw rope used for ritual purification in the Shinto religion. I went to Shodoshima island and take photographs of Toudo festival. The shapes of torch are different by each area in the island. People talked with each other around the fire. It was so beautiful Japanese annual festival.

2016年01月09日

瀬戸内海で二番目に大きな島、小豆島。この小豆島でも1月の半ばにお正月に飾った注連飾り(しめかざり)などを焼く、「とんど」の行事を行います。

In mid-January on Shodoshima, the second largest island in the Seto Inland Sea, they hold the ‘Tondo’ festival, to burn the straw New Years ‘shimekazari’ decorations.


小豆島 苗羽(のうま)。マルキン醤油の醤油蔵の煙突を一緒にみることができます。
注連飾りは正月にやってくる神様を迎えるためのもの。それを焼くことは、神様を送り出す意味があります。

The decorations are hung on gates and doorways at New Year, to welcome in the gods, and ward away evil spirits. Burning them sends the gods away.


ゴボウジメ。真ん中が太くなっているのは、ダイコンジメ。俵が乗っているものは、七福神の乗っている宝船に見立てていて、香川県で多く見られます。

注連飾りなどを持ち寄り、とんどに巻き付けて準備完了。

Once the shimekawari have been collected up and tied to the bonfire, preparations are done.


三社。香川県や高知県でみられます。


小豆島 橘(たちばな)。木造船が置かれている海辺の空き地に塔ができています。
とんどの際、島内各地で松や竹、ウバメガシなどで高さ数メートルの大きな円錐をつくります。この円錐も「とんど」と呼びます。

Across the island huge bonfires are built of pine, bamboo or ubame oak, and can be up to several meters high. These are the ‘Tondo’.


その横でゴルフの打ちっぱなしをしていたのも印象的。


船の神様を祀っているこんぴらさん(金刀比羅宮)の御札。


車でぐるりと小豆島の北側に向かいます。


せとうち暮らしメンバーの間で話題の、何でもない直線道路。
東西向きなので夕焼け色に染まります。


小豆島 大部(おおべ)。
小さな島がみえる穏やかな港近くの広場にありました。


みんなで周りをかこんで写真を撮っていたら地元の皆さんが、
「先端のしめ飾りの向きがよくないから直すよ」と
わざわざ脚立に乗って直してくださいました。


皆さんとても温かい人柄で、よそ者の私たちを迎えてくださって
「明日の朝6時に燃やすから見に来なよ」と言っていただきました。


小豆島で100年以上続く老舗の醤油屋、やまひら醤油さん


小豆島 田井。綺麗な円錐形。
表面を藁で覆っています。


取材中にみつけた火の見櫓。
これも同じ小豆島内でも地域によって形が違うのでアーカイブしたら面白そう。


小豆島の北側からぐるっとまわって土庄方面にやってきました。
小豆島 北山。浄水場の棟の形が、印象的。


地元の方がちょうどしめ飾りを持ってきていました。

2016年1月10日

翌日の早朝、まだ日も昇らない真っ暗なうちからとんどの行事が始まります。
The next morning, in the darkness before the sun rises, the festival begins.


小豆島に一晩泊まり、翌朝5時出発、小豆島の北部へ。朝6時、大部(おおべ)地区と田井(たい)地区のとうどに点火する様子を撮影しました。

地域によっては、前日の夜から子どもたちが泊まり込み、当日の朝、行事の開始を告げながらにぎやかに集落の中を回ります。
In some areas, children will camp out all night, and then run around the village in the early hours to tell everyone the event is about to begin.


昨日、よかったら見においでといってくださった大部の皆さん。

だんだんと集落の人たちが集まってくると、とんどに火を付け、持って来た注連飾りとともに盛大に燃やします。
Gradually all the villagers will gather at the bonfire, the fire is set, and the shimekazari go up in a huge plume of flames and smoke.


火がつくとあっという間に燃え上がります。


肌を刺すほど冷たい空気が、火がついたら身体の芯から温まってきます。
火の力ってすごい。


火の粉が空高く舞います。


炭を集めて、網でお餅を焼いています。
ちなみに私の地元、茅ヶ崎のどんと焼きでは、
紅白の団子を竹竿に挿して釣り竿のように垂れて焼いて食べます。


眺めていたら。お餅を頂きました。ご馳走様です。
それ以外にもおしるこや缶コーヒーも頂いてしまって。ありがたい。


東の空がしらんできました。地域の皆さんが温まって世間話をしていてとてもいい光景。


美しい瀬戸の朝焼け。凪で水面がとても静かです。


火を囲む光景っていいですね。


田井地区のとうどは、芯棒がありその先端に竹を立てかけるための金具があり、
とても合理的につくられています。こうした創意工夫が隣の地域とまったく違うのがまた面白いです。


「よかったら、どうぞ」と声をかけてくださって、
火で炙った出平鰈(でべらかれい)を頂きました。ごちそうさまです。
ちなみに、カレイとはいっても、正式名は「タマガンゾウヒラメ」。ヒラメの仲間です。


魚島でもみかけたデベラ。
瀬戸内海でよく干しているところをみかけます。

続き。2016年01月11日
取材を終えて帰ったあとも、小豆島に住む醤油ソムリエールの黒島慶子さんにお願いして
幾つかの地区のとうどの写真を撮ってもらったので下記に紹介します。


小豆島 堀越地区


綺麗なとうど。神社の方向をむいて建てられています。


奥に見えている小屋は、浪花堂の蒲さんの塩小屋です。


小豆島 坂手


小豆島 安田


酒樽もあります。


小正月にしめ飾りを燃やして神様を送る「とうど」。火を炊き、朝日を出迎えるその光景が、何百年も日本各地で行われてきたと思うと感慨深い。しめ飾りは、天照大神が岩戸に入れないように塞いだ結界が起源だとする説があるのだが、早朝に行われることの多いとんどは太陽信仰と関係があるのだろうか。

火を囲み朝日を出迎える、小豆島のとんど - Tondo at Shodoshima island

左義長 – Wikipedia

左義長(さぎちょう、三毬杖)とは、小正月に行われる火祭りの行事。地方によって呼び方が異なる(後述)。日本全国で広く見られる習俗である。

1月14日の夜または1月15日の朝に、刈り取り跡の残る田などに長い竹を3、4本組んで立て、そこにその年飾った門松や注連飾り、書き初めで書いた物を持ち寄って焼く。その火で焼いた餅(三色団子、ヤマボウシの枝に刺した団子等地域によって違いがある)を食べる。また、注連飾りなどの灰を持ち帰り自宅の周囲にまくと、その年の病を除くと言われている。また、書き初めを焼いた時に炎が高く上がると、字が上達すると言われている。道祖神の祭りとされる地域が多い。

民俗学的な見地からは、門松や注連飾りによって出迎えた歳神を、それらを焼くことによって炎と共に見送る意味があるとされる。お盆にも火を燃やす習俗があるが、こちらは先祖の霊を迎えたり、そののち送り出す民間習俗が仏教と混合したものと考えられている。

とんど(歳徳)、とんど焼き、どんど、どんど焼き、どんどん焼き、どんと焼き、さいと焼き、おんべ焼き等とも言われるが、歳徳神を祭る慣わしが主体であった地域ではそう呼ばれ、出雲方面の風習が発祥であろうと考えられている。とんどを爆竹と当てて記述する文献もある。これは燃やす際に青竹が爆ぜることからつけられた当て字であろう。

子供の祭りとされ、注連飾りなどの回収や組み立てなどを子供が行う。またそれは、小学校などでの子供会(町内会に相当)の行事として、地区ごとに開催される。