東京大学物性研究所と愛媛大学の研究チームは、松山市北部の高縄山で、レアアース(イットリウム)とレアメタル(タンタル、ニオブ)から成る新鉱物を発見しました。花崗岩中から見つかったこの鉱物は、国際鉱物学連合に新鉱物として認定され、「高縄石(タカナワアイト)」と命名されています。

高縄石はレアアースが高密度に集まる極めて珍しい鉱物で、大規模な鉱床が確認されれば、国産資源として活用できる可能性があります。一方で、資源化には採算性が課題とされています。

この鉱物は、2001年の芸予地震で崩れた登山道で採取され、当初は既存の鉱物と考えられていましたが、再分析の結果、新鉱物であることが判明しました。

A research team from the Institute for Solid State Physics at the University of Tokyo and Ehime University has discovered a new mineral composed of rare earth elements (yttrium) and rare metals (tantalum, niobium) at Mount Takanawa in northern Matsuyama City. Found within granite, this mineral has been recognised as a new species by the International Mineralogical Association and named “Takanawaite”.

Takanawaite is an extremely rare mineral in which rare earth elements are densely concentrated. Should large-scale deposits be confirmed, it holds potential for utilisation as a domestic resource. However, achieving economic viability remains a challenge for its resource development.

The mineral was collected from a hiking trail that collapsed during the 2001 Geiyo earthquake. Initially thought to be an existing mineral, reanalysis confirmed it to be a new species.

レアアースの新鉱物発見 東大など、松山市の山地  – MSN産経ニュース

ハイテク製品に不可欠なレアアース(希土類)とレアメタル(希少金属)でできた新鉱物を、東大物性研究所と愛媛大の研究チームが松山市内の山地で発見した。大量に存在すれば資源化できる可能性があり、鉱床の有無や埋蔵量などを調査すべきだとしている。

 この鉱物はレアアースのイットリウムとレアメタルのタンタル、ニオブの酸化物。褐色の板状または放射状の結晶で、大きさは数ミリから1センチ。松山市北部の高縄山(標高986メートル)の花崗岩から発見した。3月に国際鉱物学連合から新鉱物と認定され、「高縄石」(学名・タカナワアイト)と命名した。

 レアアースは花崗岩などに含まれ、中国が世界の産出量をほぼ独占している。日本の花崗岩は含有率が低いためレアアースは採掘されていないが、高濃度で大規模な鉱床が見つかれば国産化できる可能性がある。

 同研究所技術職員の浜根大輔氏(鉱物科学)は「この成分が高密度に集まった鉱物は極めてまれで、レアアースの国内分布を調べる手掛かりになる。資源化には採算性が課題だが、産出条件を解明して地質が似ている場所を探せば、未知の鉱床を狙い撃ちできるかもしれない」と話している。

 浜根氏は愛媛大の皆川鉄雄准教授とともに、平成13年の芸予地震で崩れた高縄山の登山道でこの鉱物を採取。当時は既存の鉱物だと思っていたが、昨年、東日本大震災で研究活動が一部中断したことがきっかけで10年前のことを思い出し、詳しく再分析したところ、既存のものとは結晶構造が異なる新鉱物と判明した。

南鳥島沖だけではない、日本の山に眠る「レアアース」 新鉱物が問う“資源大国”の夢と現実「技術革新がないと、資源化できる規模の採掘は見込めない」愛媛 | TBS NEWS DIG

舞台は愛媛県松山市。標高986メートルの高縄山(たかなわさん)。2001年、林道脇の花崗岩から採取された小さな鉱物が、2012年3月、国際鉱物学連合によって新鉱物と認定され、「タカナワアイト(高縄石)」と名付けられました。発見したのは、愛媛大学の皆川鉄雄教授(当時)らの研究チーム。タカナワアイトには「レアアース」に加え、原子力の制御棒にも使われる「タンタル」などの希少金属が凝縮されていたのです。

しかし、これが直ちに「資源大国ニッポン」への切符になるわけではありませんでした。皆川教授は、当時の取材に対し、こう苦笑いを浮かべていました。(愛媛大学・皆川鉄雄教授(当時))「2~3日で掘ってしまって、それで終わりだと思う。量的には」レアアースが含まれていることは事実でも、商業ベースに乗るほどの埋蔵量があるかは全く別の話です。「タカナワアイト」はあくまで、希少金属が濃縮される地質環境を示す「指標」に過ぎないというのです。

鉱物学を専門とする愛媛大学 大学院理工学研究科の白勢洋平助教もまた、冷静な視点を崩しません。 現在、レアアースの産出で圧倒的なシェアを誇る中国。国際的な資源開発研究の舞台も、オーストラリアや東南アジアが主流だといいます。 国内での資源化には「採掘量」、「安定供給」、そして「放射性物質の処理」など、乗り越えるべき高い壁が存在します。 白勢助教は今回の探査船の活動について、「科学的な知見を得るために非常に重要」とした一方で、「技術革新がないと、資源化できる規模の採掘は見込めない」と指摘します。

探査船の出港は、確かに資源確保に向けた希望の一歩です。しかし、愛媛の山で見つかった小さな石は、私たちに重要な教訓を残しています。それは、資源開発に「一発逆転の魔法」はないという現実です。自然界が数億年かけて隠した宝物は、数十年、あるいは百年単位の地道な科学的探査と技術の積み上げによってのみ、私たちの手に届くものになるのかもしれません。「国産資源」への道は、まだ始まったばかりです。

高縄石 – Wikipedia

高縄石(たかなわせき、 Takanawaite-(Y))は2013年に発表された日本産新鉱物で、化学組成はY(Ta,Nb)O4、結晶系は単斜晶系。東京大学の鉱物学者浜根大輔などにより、愛媛県松山市の高縄山の花崗岩中から発見された。発見地の山の名から命名された。

性質、特徴
褐色板状の結晶外形で、単結晶もしくは放射状に集合した群晶で産出する。モース硬度は5.5。ガドリン石、ジルコンを伴う。含まれる放射性元素のため、構造はメタミクト化(英語版)して非晶質となったものが多い(加熱処理すると結晶構造が戻り、単斜晶系のM相と確認された)。ジルコンに外見が酷似するが、ジルコンが棒状結晶となるのに対して高縄石は板状結晶となるのが特徴である。

β-フェルグソン石(Fergusonite-beta, フェルグソン石の低温相)のタンタルがニオブに優越したものである。また、岩代石(Iwashiroite-(Y)、単斜晶系のM’相)、フォーマン石(Formanite-(Y)、正方晶系)、イットロタンタル石(Yttrotantalite-(Y)、斜方晶系)の同質異像であるともされるが、そのうちフォーマン石、イットロタンタル石は合成実験では存在が確認されておらず、構造、組成などのデータが曖昧なまま情報が混乱しているのが現状である。

発見の逸話
2001年の芸予地震の際、ガドリン石の産地として知られていた高縄山のペグマタイトが崩落し、瓦礫からガドリン石と共に発見した鉱物を当時愛媛大学に所属していた浜根はフォーマン石と考えて翌2002年に報告した。その後、東京大学に移った浜根は2011年の東日本大震災を機にこの「フォーマン石」を再検討した結果、新鉱物と判明して申請、2012年に承認された。