高松の古い町並みが残る仏生山(ぶっしょうざん)で
劇団ペピン結構設計による「演劇まち歩き」という
なんとも、ユニークな企画が催されていたので参加してきました。

「パラダイス仏生山」と題されたこの企画は、
北九州や仙台などの商店街や町中でお芝居などの企画を展開している
劇団 ペピン結構設計によるイベントで、
その地域に住む人に対するヒアリングやフィールドワークを通じた事前調査によって発見した
地域に眠るさまざまな物語を掘り起こし、それらを再構成して
まち歩きをしながら体験するというものです。
古くから水不足に悩まされた香川県なので、やはり水にまつわる物語がたくさんあるようです。
文章ではわかりにくいので、参加してきた様子を写真で貼っておきます。

The theatrical company “Pepin Structural Designs” took place walking event at Bushozan town, Kagawa pref., Japan.

2015年のパラダイス仏生山はこちら。 Paradise Busshouzan 2015


この日は、仏生山駅でことでん電車祭りや、仏生山温泉のおんせんマーケットも開催されていました。


普段ははいることができない仏生山工場内を見学できたり
パンタグラフやブレーキやドアの制御を体験できるという
子どもたち大興奮の企画があります。


受付は、電車祭りの会場。


受付をすませると、いくつかの指示が書かれた紙が渡されます。
まずはコインランドリーへ。


老舗のコインランドリーを発見。


洗濯機の中から水の音が聞こえ、柱に張り紙があります。


張り紙には、仏生山にかつてあった「平池」というため池について書かれています。
洗濯機がため池に見立てられています。


こちらは、服飾材料のお店「四国テキスタイル」。なんとも味のある建物です。


これわお店の張り紙


こちらが、まち歩きの張り紙です。「ちきり」という道具について


商店街の街灯


LED化されるのでしょうか。


ここでもかき氷の記事をかいた「藤木氷室」さんの閉店の張り紙。


まち歩きの指示に従いながら、まち歩きをしていると普段見逃してしまうような
いろんなものに気が付きます。


他のお店。「三十分位 店を閉めます 店主」


「敵は好奇心にあり」


高松信用金庫に止められた自転車


そこにあるiPodから、かつてここにあった建物に関する
物語が聞こえてきます。昔は、ボーリング場だったそうです。


黄昏時



路地裏を歩く


仏生山の人気カフェ「アジール」さんに到着。


休憩に仏生山で作られている吉野酢をいただきます。
柚子の香り。


ここで追加の指示書を受け取ります。
指示の場所で読むようにと渡された手紙。


二枚目の指示書


お寺


再び路地裏を歩きます。ところどころ用水路を水が流れています。
そして、指示書のとおりの場所で手紙をひらくと


「私の選択は間違っていなかった」


そしてこの夕焼けと広がる水田。


ところどころにボーリングのピンが置かれていて、
1本なら右、2本なら左というかんじで、路地裏を進んでいきます。


今度はクリーニング屋 まえだの前に到着。


ここでは、着物を洗う仕事をしているお店の中の様子をみせていただきました。
染色とおなじで、小さな川の流れを利用していたようです。
ここでも水にまつわる物語に出会いました。


あいさつ道を歩くと、


今度はオレンジ色の人が立っていて、糸電話でメッセージを語ってくれます。


ちょっと恥ずかしいですが、仏生山の下にあるという
高松クレーターにかんする物語を聞いています。


こうなってくると、通りでみかける人すべてが仕掛け人なんじゃないかと見えてきます。


通ったこともないような路地裏をどんどん進みます。


ちきり神社に到着。
ここで最初にでてきた「ちきり」の解説がつながってきます。


階段の途中に時計台。仏生山の神崎時計店から寄贈されたものです。


階段を登っててっぺんに置いてある双眼鏡で境内を見渡すと、


ちきり神社のいわざら乙女身代わり守りが。


その下にはこの地にのこる、「いわざらこざら」の伝説が書かれています。
仏生山の平池(へいけ)というため池を築くために人柱として埋められた
機織りの道具である「ちきり」をもった女性が祀られています。


ちきり神社から道をもどり仏生山温泉をめざします。
通りにある「神崎時計店」


ちきり園 森山茶舗


カフェアジール。もともと素麺屋さんだった建物を改装してカフェにしています。


すっかり日がくれてしまいました。


仏生山温泉に到着。


指示書に従い受付の人にちきり神社にかかれていた暗号
「いわざらこざら」と告げると、下駄箱の鍵をくれました。


下駄箱を開けると、時計が置かれています。
耳をすますと水の音が聞こえてきます。


時計の下には、柳田国男さんの「妹の力」とメッセージが。


本を開くと仏生山について書かれている一節がでてきます。
そして、添えられたメッセージには、神崎時計店の方の物語が書かれていました。
道の脇をながれる水路、コインランドリー、ボーリング場、
素麺屋さんだったカフェアジール、クリーニング店、ちきり神社など
仏生山のまちを歩きながらその地に眠る、物語をなぞっていきました。

とくに「水」に関わる物語が多かったように思います。
このユニークな試み、
2015年の秋にはさらにバージョンアップして展開されるかもしれないとのことです。
楽しみです。

ペピン結構設計・演劇まちあるき習作
『パラダイス仏生山 – 仏生山の記憶をたどるまちあるき』

ペピン結構設計は、これまでフィールドワークを重ねた高松・仏生山にて、演劇まちあるき・習作『パラダイス仏生山』を行います。今回はトライアルとして3日間の滞在でつくる小作品を体験していただけます。ぜひご参加ください。

地図をたよりに仏生山のまちを探索する、
まち歩き体験です。

仏生山にまつわる記憶や物語をもとにした
ちょっとした仕掛けをまちにしのばせています。

まち歩き参加者は13〜15時に受付を済ませ、
それぞれ好きな時間に仏生山駅をスタートして、
地図を片手に自分のペースでまちを歩いていただきます。

お散歩気分で、どうぞ。

日程:2014年11月3日(月・祝)
時間:13時~15時まで(作品は17時まで体験できます)
場所:ことでん仏生山駅下車すぐ・電車まつり会場内
料金:100円

当日はことでん仏生山工場にて「電車まつり」、仏生山温泉にて「おんせんマーケット」など仏生山でさまざまなイベントが開催されています。

ことでん「電車まつり」 
おんせんマーケット

ペピン結構設計 
1999年、高校の同級生5名で結成。慶應義塾を中心にメンバーを増やし、STスポットやBankARTなど横浜を拠点に活動開始。北九州の商店街にて空きテナントや通りを使った移動型演劇『対岸の火事』(2012年)など、一貫して「場所」から立ち上がる作品づくりにこだわる。

04年 東京国際芸術祭リージョナルシアターシリーズ、10年 こまばアゴラ劇場・舞台芸術フェスティバル、14年6月 Book!Book!SENDAIリーディングパフォーマンス(仙台)、14年1月~現在ファンタスティック・アーケード・プロジェクト企画制作(北九州)など、演劇からアートプロジェクトまで横断的に手がける。

妹の力 (角川ソフィア文庫)

ことでん 仏生山工場

仏生山の記憶をたどる演劇まちあるき『パラダイス仏生山』
日程|2016年11月3日〜6日・全4公演 ※11/4(金)は休演日
料金|一般前売 2,800円 当日3,300円
発売日|9月28日(水)10時より発売開始
集合・受付|ことでん仏生山駅周辺(予定)
お問合せ| paradise@pepin.jp
◎上演時間:約2時間半(予定)/小雨決行・荒天中止
◎本作品は、仏生山エリアを周遊するツアー型の作品です。
主催:
Pepin Structural Designs | ペピン結構設計
仏生山まちプランニングルーム

paradise_busshozan