NAKDA.net BLOG "「選ばれる自治体」へ 〜 徳島県名西郡上山町の例"

私は、自由で力強い日本をつくるためには、「個人の自立・地方の自立・国家の自立」が欠かせないと思っています。なぜなら、現在、私たちが直面している重要な問題の大半は、“自立心の欠如”、裏を返せば、“依存心の増長” に原因があると思っているからです。
「自分だけがよければいい」、あるいは「今さえよければいい」と多くの人が考え、個人は行政に、地方は国に、国は米国や“偶然の国際情勢“に依存してきました。
また国や地方の財政は未来の日本人に依存してきたとも言えます。少子化とはいえ、毎日、多くの赤ちゃんが誕生しています。その子たちは、おぎゃーと生まれた瞬間から、借金を700万円以上も背負うことになるのです。こんな理不尽なことがいつまで許されるはずはありません。

しかしながら、それでは駄目だと気付き、自発的に自立の道を歩み始めている人や自治体も少しずつではありますが増えてきました。
例えば、徳島県名西郡神山町は、世帯数約2600、人口約6500人の小さな町ですが、東京のIT企業などが相次いでオフィスを設け、話題になっています。
地元のNPO法人グリーンバレーが、空き家再生を始めたことがきっかけになったようです。米国のシリコンバレーのように、場所に縛られない自由な発想は、IT化が進むにつれ、我が国でも顕著になってきています。条件のいいところに本社やコールセンターなどの中枢機能を移したいというニーズと、さまざまな人材を呼び込みたい地元のニーズをマッチングさせる役割をグリーンバレーが担ったといいます。また、平成16年、徳島県で最も早く光ファイバーを全家庭に敷設するなど、情報の基盤整備が功を奏したとも言えます。
神山町に起業ラッシュが生じていることを報じたテレビ番組では、東京本社と神山町のオフィスをテレビ通話で結んでいる様子や、自然の中で生き生きと仕事に取り組む社員の様子などが紹介されていましたが、今後、地方で起業する件数は飛躍的に伸びると想定されます。

この例に限らず、今後、「選ばれる自治体」になれるかどうか、それが今後の自治体経営のカギを握ることになることは間違いありません。
依存体質から脱却し、創意工夫によって自立の道を探る動きはますます活発になると思います。それは、平たく言えば、「努力が報われる社会」です。「努力が報われる社会」という価値を国民と共有し、具体的に制度設計していくことが政治に求められていることだと考えます。

参考:
イン神山 » ブログの中の神山「中田宏のオピニオン」